近年、英国、カナダ、米国など、多くの欧米諸国が先を争うように、生涯にわたる健康/医療電子記録(EHR)の国民レベルでの実現を主要目標として、医療のIT化についての大規模な国家的なプロジェクトを推進してきている。 わが国の政府も、本年1月にIT戦略本部が発表した「IT新改革戦略」で、今後展開すべき重点的なIT政策の筆頭に「ITによる医療の構造改革」をテーマとして掲げ、平成18年度内に医療・健康・介護・福祉分野にわたるIT化のグランドデザインを策定することになっている。また、4月からは診療報酬において「電子化加算」が設けられた。 これらの一連の動きは、国レベルの政策においても、医療情報の扱いにITを一層活用すべき(以下「医療IT化」と表記)との重要性が広く認識されつつあることを示すものであると言える。 国際的な動向を見るまでもなく、医療のIT化が、医療の透明性、医療コストの抑制、医療の質の向上といった一見相反する医療目標を達成する唯一の解決手段であることは明らかであり、わが国も長期的な視野に立って、医療IT化を本格的に推進する医療界、学会、産業界の協同的な体制の構築が求められている。 医療IT化に関しては、これまでも各種の団体などがそれぞれの課題に精力的に取り組み、個別には顕著な成果を上げつつあるが、医療ITの医療現場への浸透や広がりに関しては、未だ不十分な状態であると言わざるを得ない。 その理由のひとつには、医療IT化の普及と浸透に関しては、医療現場レベルのきめの細かい調整から長期的な国レベルの政策の策定にいたるまで、広い範囲の課題に関する議論が必要だが、医療ITの専門家、提供者、利用者などの医療IT化推進団体が、お互い意見を述べ合い、課題に対する解決方向を目指す共通の場が存在しなかったことがあげられる。 このたび、一般社団法人日本医療情報学会(JAMI)、財団法人 医療情報システム開発センター(MEDIS-DC)、保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)の三者は、長期的な展望に立った国民レベルの医療IT化を協同して推進する組織の必要性を認識し、三者が発起人となり、「医療IT推進協議会」を6月9日に設立し、より広範な医療IT関連団体への参加を呼びかけることとした。
平成18年6月9日 医療IT推進協議会設立発起人 一般社団法人日本医療情報学会 財団法人 医療情報システム開発センター 保健医療福祉情報システム工業会
平成22年 7月 1日現在