事業計画
2020年度事業計画概要(2020年度事業計画書より抜粋)
Ⅰ.運営の方針 |
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1.業界を取り巻く環境変化と今後の動向 |
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わが国は、社会保障制度の充実(国民皆保険、フリーアクセス等)と、質の高い医療サービスの 安定的な提供により、長寿社会を実現してきた。しかしながら、社会情勢の変化により現状では下 記のような課題を抱えている。 |
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・ 世界に先駆けて急速に少子高齢化が進行 ・ 人口動態の変化 ・ 医療・介護の公的費用が拡大 ・ 疾病構造の変化 ・ 医療者の働き方改革 |
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これらの課題への対応として、国民一人ひとりの健康寿命を延伸するとともに、多忙を極める医 療や介護現場において、サービスの質を維持・向上しつつ、その効率化や生産性の向上を含めたあ らゆる手段を講じることにより、社会保障の持続可能性を確保することが求められている。 2019年5月には厚生労働大臣を本部長とする「2040年を展望した社会保障・働き方改革本 部」において「医療・福祉サービス改革プラン」が策定され、誰もがより長く元気に活躍できる社 会の実現を目指し「①多様な就労・社会参加、②健康寿命の延伸、③医療・福祉サービスの改革に よる生産性の向上、④給付と負担の見直し等による社会保障の持続可能性の確保」を政策課題とし て取り組む方針を示した。 さらに、2019年6月には「経済財政運営と改革の基本方針2019~「令和」新時代: 「Society5.0」への挑戦~」、「成長戦略フォローアップ」、「規制改革実施計画」が 閣議決定され、データヘルスに関する内容が盛り込まれて2019年9月、厚生労働省の「第6回 データヘルス改革推進本部」において、今後のデータヘルス改革の進め方について「2021年度 以降に実現を目指す未来と2025年度までの計画・工程表」を公表した。 データヘルス改革において、健康・医療・介護分野におけるICT化を進め、国民や患者一人ひ とりが自身の医療等のデータを有効に活用することや保健医療現場や関係する産業界が適切に活用 することは、国民一人ひとりの健康寿命を延伸するとともに、医療や介護現場におけるサービスの 質を維持・向上しつつ、その効率化や生産性の向上(医師の働き方改革等)を含めたあらゆる手段 を講じることにより、社会保障の持続可能性を確保する課題に対応する糸口の一つだとした。具体 的施策としては、オンライン資格確認システムの導入などデータヘルス改革の基盤を構築した上で、 ①保健医療記録共有、②救急時医療情報共有、③PHR・健康スコアリング、④データヘルス分析、 ⑤乳幼児期学童期の健康情報、⑥科学的介護データ提供、⑦がんゲノム、⑧人工知能(AI)の8 つのサービスについて、おおむね 2020年度の開始を目指し、これらの8つのサービスをもと に、2021年度以降に目指す未来として、「ゲノム医療・AI活用の推進」「自身のデータを日 常生活改善等につなげるPHRの推進」「医療・介護現場の情報利活用の推進」「データベースの 効果的な利活用の推進」の4つの柱について重点化していくことを示した。 一方、データ利活用促進に関する法整備について、2017年5月30日に改正個人情報保護法 が全面施行され、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等にも反映された。また、 2018年5月11日には、特定の個人を識別できないように医療情報を匿名加工し、健康・医療 に関する先端的研究開発及び新産業創出に利活用を可能にするための仕組みを定めた、医療分野の 研究開発に資するための「匿名加工医療情報に関する法律(次世代医療基盤法)」が施行され、 2019年12月、同法に基づく「認定匿名加工医療情報作成事業者」および「認定医療情報等取 扱受託事業者」が初めて認定された。医療記録は要配慮個人情報のため、その取扱いには十分注意 が必要だが、医療・健康情報等の各種データの更なる利活用を推進し、国民の健康や医療サービス の質の向上に貢献することが期待されている。 医療安全関連については、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法 律(医薬品医療機器等法)」薬機法が改正され来年度施行される。また、法規制対象とならないヘ ルスソフトウェアの業界自主ルール(GHS開発ガイドライン)で採用されているISO1497 1が改定され、スコープに「データ及びシステムセキュリティ」が追加された。これにより、リス クマネジメントにおいてもサイバーセキュリティ対策が組み込まれた。ヘルスソフトウェアの製品 安全規格であるJIS T 82304-1(IEC82304-1)も含め今後適合に向けた要 求が高まる可能性が出てきている。 今後、政府が推進する全世代型社会保障制度の構築、および高度化する情報通信技術やデータ利 活用の進展により、いわゆるSociety5.0を目指した社会変化が急速に進展していくもの と思われる。保健医療福祉分野でも、データを保健医療福祉に従事する主体が扱うだけでなく、民 間企業を含む新たな主体がデータを扱う動きが見られる。こうした社会変化は、データの利活用の ルール、個人情報保護の在り方、サイバーセキュリティ対策など重要課題への対応が必要であり、 保健医療福祉情報システムを担うJAHISへの期待はますます高まるものと考える。 このような大きな動きを踏まえて策定した「中期計画2023」の達成に向け、2020年度の 業務を遂行する |
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2.中期計画2023の運営方針 |
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1)2030ビジョンで描くヘルスケアICTの実現に向けた推進【国民・ユーザ向け】 医療情報連携ネットワーク基盤、および、個人が医療・健康データを利活用できる基盤構築 に向け、標準類・実装ガイドの整備と各会員への普及を推進する。また、健康・医療・介護 のデータの利活用を推進する。 |
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2)JAHIS参画価値の追求、健全な市場の維持・発展【会員向け】 会員共通の課題対応を迅速に行い会員サービスの充実を図る。また、ヘルスケアICT市場 の把握と海外を含めた新規市場の調査・活動支援を行い、会員満足度の向上を図る。 |
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3)JAHISブランドの向上、永続的な運営基盤の確立【運営基盤】 業界の代表として官・学と連携するための体制強化を図り、JAHISブランドの向上に努 める。また、コンプライアンス体制の維持・強化を含め運営基盤の強化を推進するとともに 業界に必要な人材、JAHIS運営に必要な人材の育成と確保を行う。 |
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Ⅱ.事業の概要 |
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1.運営方針毎の主要推進施策 |
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1)2030ビジョンで描くヘルスケアICTの実現に向けた推進 |
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(1)各省庁・関係団体における各種連携事業やデータ利活用事業に対し共通基盤整備、データ・ 用語等の標準化など積極的な対応を行う。 (2)JAHIS標準類の策定、各種マスタの整備を国内、国際の最新状況に基づき、戦略的かつ 計画的に進める。 (3)行政の標準化普及施策等に積極的に協力し実装の推進に努める。 (4)医療等分野情報連携基盤検討会等、標準化、施策を決定する会議に委員派遣を含め積極的に 参加しJAHISとしての意見を反映させるように努める。 (5)JAHIS標準の国際標準化提案を行うとともに、標準化を進める上で参考となる国際規格、 国際標準、体制・運用方法の調査を踏まえて、我が国における標準化の在り方について検討 する。 |
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2)JAHIS参画価値の追求、健全な市場の維持・発展 |
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(1)診療・介護報酬改定等、JAHIS会員共通の課題に対して、会員へのタイムリーな情報提 供および関係機関との折衝等、迅速な対応を行う。 (2)JAHIS会員が共通で必要とする情報に関しては、セミナー・勉強会を積極的に開催し、 会員の技術力向上を図る。また情報提供に関して、会員向けHP等の内容拡充を図る。 (3)JAHIS会員の製品であれば信頼感(安心感)が高いと認知される様、製造業者が開示す べき項目等の検討およびドキュメントの整備を行う。 (4)現在行っている売上高調査、市場予測を継続するとともに、会員に有益な情報を提供する。 (5)海外を含めた新たな市場や技術分野の動向を計画的に収集し会員に展開する。 |
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3)JAHISブランドの向上、永続的な運営基盤の確立 |
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(1)事業企画推進室を中心として、継続的に各省庁、関係団体の情報を入手する。また各省庁が 実施する調査研究やPoC等、業界にとって有益な事業には主体的に参画し、ヘルスケア ICTICTにおけるJAHISブランドの向上を図る。 (2)コンプライアンス委員会を中心として、競争法コンプライアンスに関するPDCAを回し、 コンプライアンス活動の定着と強化を図る。 (3)JAHIS運営におけるICT化を推進し、運営の効率化と管理体制の強化を図る。 (4)JAHIS活動を担う部会・委員会で活動する人材の育成や若手の活動促進のための取組み を行う。また、働き方改革や雇用環境の変化を踏まえて、ノウハウを持ったJAHISの OB等が活躍できる仕組みを検討する。 (5)現在実施している教育に加えて、ヘルスケアICTの動向、会員の要望に応じて新規の教育 を企画し人材の育成を行う。 |
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2020年度事業計画書(PDF版) | |
2019年度事業計画書(PDF版) | |
2018年度事業計画書(PDF版) | |
平成29年度事業計画書(PDF版) | |
平成28年度事業計画書(PDF版) | |
平成27年度事業計画書(PDF版) | |
平成26年度事業計画書(PDF版) | |
平成25年度事業計画書(PDF版) |
平成6年度から平成13年度までの事業報告書を参照希望の場合は、事務局にお問い合わせ下さい。
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