JAHIS標準14-004

JAHIS内視鏡データ交換規約Ver.3.0C

注意:この標準類は旧版です。最新版はこちらをご覧ください。


ま え が き

 医療施設における医療情報システムにおいて、内視鏡部門情報システム(EIS:Endoscopy Information System)は、年々、導入及び運用の実績が伸びている。しかしながら、これまでの病院情報システム(HIS)と内視鏡部門情報システム及び関連システム(PACS/Report)間のデータ交換においては、メーカ間での統一はもとより、同一メーカにおいても導入施設によりその仕様が異なり、接続するにあたり多くの費用と時間を要していた。

また、病院情報関連の標準規格への対応状況においては、それぞれの規格が、放射線部門由来の規格であり、内視鏡部門の固有性や放射線部門との差異等の特徴を十分には反映してはいなかったため普及しているとは言えない状況となっていた。医用画像の標準規格であるDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)に関しては、対応実績を持つ製品はあるものの、未だその数は決して多くはない。ましてや、HL7(Health Level Seven)の実装事例はほとんどない状況であった。

そこで、一般社団法人保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)では、この課題を解決すべく、病院情報システムと内視鏡部門情報システムとのデータ交換の仕組みを検討した。そして、その成果として2008年8月に、世界で初めての内視鏡部門向け医療情報の標準規格となる「内視鏡データ交換規約Ver.1.0」を作成した。

「内視鏡データ交換規約 Ver.2.0」では、Ver1.0で盛り込まなかった「実施情報」を対象範囲に加え、「内視鏡検査実施報告(EIS-HIS)」のメッセージを定義した。具体的には、「手技情報」「医療従事者情報」「使用物品情報」等の実施情報を含む。さらに、Ver.2.1では、日本IHE協会などの関係団体と協調しながら、施設でのスムーズな運用を考慮して、個々の設定値などの補足説明を加え、臨床検査や放射線などの他のJAHIS標準類との整合をとり、解釈や表現を見直してわかりやすくした。

2013年6月に、それまでHL7 Ver2.3を採用していたIHE SWFプロファイルに対し、Ver2.5をベースとしたSWF.bが日本提案により整備され、米欧でも2015年コネクタソンで全面的にこれを採用することになった。本書「内視鏡データ交換規約Ver.3.0C」では、この国際的な流れを参考に、一部内容を見直し、さらにデータ交換規約共通編を踏まえた文章、記載フォーマットの改訂を実施した。

本規約をまとめるにあたり、ご協力いただいた関係団体や諸先生方に深く感謝する。また、本規約が医療資源の有効利用、保健医療福祉サービスの連携・向上を目指す医療情報標準化とデータ交換の円滑化に多少なりとも貢献できれば幸いである。

 

2014年8月
一般社団法人 保健医療福祉情報システム工業会
相互運用性委員会
検査システム委員会


目 次

1.    はじめに.. 1
2.    使用しているHL7について.. 2
 2.1      概要... 2
 2.2      メッセージ... 2
 2.3      フィールド... 2
 2.4      メッセージ区切り文字... 2
 2.5      データ型... 2
 2.6      各種コメント... 3
3.    主な用語.. 8
4.    JAHIS標準テーブル.. 9
 4.1      患者プロファイルコードについて... 9
 4.2      用語・コードの扱いについて... 11
5.    内視鏡データ交換規約の対象範囲.. 14
 5.1      基本方針... 14
 5.2      対象範囲... 14
6.    内視鏡検査依頼・検査結果メッセージ構文.. 17
 6.1      患者情報照会(QRY/ADR) 18
 6.2      患者情報通知(ADT/ACK) 18
 6.3      内視鏡検査依頼照会(OSQ/OSR) 19
 6.4      内視鏡検査依頼(OMG/ORG) 21
 6.5      内視鏡検査通知 (OMI/ORI) 23
 6.6      内視鏡検査結果照会(QRY/ORF) 25
 6.7      患者到着通知 (ORU/ACK) 26
 6.8      検査報告書状態通知(MDM/ACK) 26
 6.9      検査報告書通知(MDM/ACK) 28
 6.10        内視鏡検査実施報告(ORU/ACK) 29
7.    関連セグメント詳細.. 31
 7.1      AL1 - Patient Allergy Information Segment 患者アレルギー情報セグメント... 32
 7.2      ERR ‑ Error Segment エラーセグメント... 32
 7.3      EVN ‑ Event Type Segment 事象型セグメント... 32
 7.4      IPC - Imaging Procedure Control Segment 画像手続き制御セグメント... 33
 7.5      MSA - Message Acknowledgment Segmentメッセージ応答セグメント... 35
 7.6      MSH - Message Header Segmentメッセージヘッダセグメント... 35
 7.7      NTE ‑ Notes and Comments Segment 注釈コメントセグメント... 35
 7.8      OBR - Observation Request Segment 検査要求セグメント... 36
 7.9      OBX - Observation/Result Segment 検査結果セグメント... 43
 7.10    ORC ‑ Order Common Segment 共通オーダセグメント... 62
 7.11     PID - Patient Identification Segment 患者識別セグメント... 80
 7.12    PV1 - Patient Visit Segment 来院情報セグメント... 80
 7.13    QRD - Query Definition Segment 問合せ定義セグメント... 81
 7.14    QRF - Query Filter Segment 問合せフィルタセグメント... 84
 7.15    TQ1 - Timing/Quantity タイミング/数量セグメント... 86
 7.16    TXA – Transcription Document Header Segment  電子媒体化文書ヘッダセグメント... 90
 7.17    ZE1 - Performed Data Segment 実施情報セグメント... 96

付録‐1.消化器内視鏡検査依頼メッセージの例.. 98
付録‐2.消化器内視鏡オーダ用サンプルマスタ Ver.1.0. 436
付録‐3.消化器内視鏡オーダ用サンプルマスタの使用例.. 441
付録‐4. 作成者名簿.. 445
V2.1からの改訂箇所.. 446
 

 

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