JAHIS標準12-001
JAHIS臨床検査データ交換規約Ver.3.1

ま え が き
 
 1993年、(財)医療情報システム開発センター(MEDIS-DC)臨床検査データ交換標準化協議会により「臨床検査データ交換規約(暫定版)」が発表された。その後、約1年間で30件以上におよぶ使用実績を見た。しかしながら、幾多の課題も見受けられた。そこで保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)臨床検査センターシステム専門委員会では、その使用経験に基づき、課題や要望を抽出整理した。その結果、課題の一部は、仕様の解釈が不十分なことに起因していると考えられた。そこで1994年度に、課題の共通認識と解決方法・注意点などを討議した結果、円滑な導入を図るため「臨床検査データ交換規約(暫定版)利用ガイド」をまとめ、発表した。
 1995年より課題の根本的解決と医療情報の標準化動向に沿った臨床検査データ交換規約の検討にはいり、標準化動向の調査学習をすすめた。1996年度に臨床検査システムホスト接続WGと共同でDRAFTバージョンを発表し、意見収集を行った。1997年度、関係諸先生方の多数のご意見やHL7をはじめ関連規約との調整を図り「JAHIS臨床検査データ交換規約Ver.1.0」をまとめるに至った。本規約は、医療情報の標準化動向を見極めながら臨床検査のみならず保健医療福祉情報システム全体のデータ交換体系に留意し、院内オーダリングや病医院-臨床検査センター間をはじめ、さまざまな医療関連施設相互間に適用できるよう検討し、まとめたものである。
 その後、1998年10月からオンライン版を検討し、1999年10月にVer.1.0を発行し、2000年のマスタに関してのメッセージを追加したVer.2.0ならびに2002年6月には臨床検査自動化のためのオンライン版Ver.2.0を発行してきた。さらに、2007年1月よりIHE臨床検査テクニカルフレームワークガイドラインとの整合性を検討し、かつ、Ver2.0とオンライン版Ver2.0との統合を実施したVer3.0を2008年に発行し、かつ、2010年には医療情報標準協議会(HELICS協議会)にて、「JAHIS臨床検査データ交換規約」として採択されている。
 今回、Ver3.0制定から3ヶ年を経過し、また日本HL7協会における適合性認定における指摘事項を踏まえ、見直しを行いVer3.1として発行した。
 本規約が医療資源の有効利用、保健医療福祉サービスの連携・向上を目指す医療情報標準化とデータ交換円滑化に多少とも貢献できれば幸いである。
 

2012年4月
一般社団法人 保健医療福祉情報システム工業会
医療システム部会 検査システム委員会
相互運用性委員会
目 次
1.はじめに
2.HL7概要
3.主な用語
4.臨床検査データ交換規約の対象範囲
 4.1  会話型としての利用
 4.2  ファイル転送型としての利用
 4.3  臨床検査関連システム構成イメージとメッセージの適用
 4.4  臨床検査依頼・報告メッセージの対応関係
5.関連情報詳細
 5.1. HL7メッセージについて
 5.2. フィールドならびにセグメント属性表について
 5.3  メッセージ区切り文字
 5.4  データ型
 5.5  検査項目コードについて
 5.6  検査材料・採取部位コードについて
 5.7  検査結果コメントの扱い
 5.8  定性結果・不等号等の表現方法
 5.9  コード体系表
 5.10 数量/タイミング(参考)
6.臨床検査依頼・臨床検査結果メッセージ構文
 6.1  臨床検査依頼(OML/ORL)
 6.2  到着確認報告、臨床検査結果(ORU/ACK、OUL/ACK)
 6.3  情報照会(QBP/RSP)
 6.4  患者情報通知(ADT/ACK)
7.関連セグメント
 7.1  MSH メッセージヘッダーセグメント
 7.2  NTE 注釈・コメントセグメント
 7.3  PID 患者識別セグメント
 7.4  PV1 来院情報セグメント
 7.5  PV2 来院補足情報セグメント
 7.6  AL1 患者アレルギー情報セグメント
 7.7  SPM 検体セグメント
 7.8  ORC 共通オーダーセグメント
 7.9  TQ1 タイミング/数量セグメント
 7.10 OBR 検査要求セグメント
 7.11 OBX 検査結果セグメント
 7.12 QAK 照会応答セグメント
 7.13 QPD 照会パラメータ定義
 7.14 RCP 応答制御パラメータセグメント
 7.15 MSA メッセージ応答セグメント
 7.16 ERR エラーセグメント
 7.17 EVN 事象型セグメント
 7.18 ROL 役割セグメント
 7.19 PR1 処置セグメント
 7.20 IN1 保険セグメント
 7.21 MRG 患者情報マージセグメント
8.臨床検査自動化用メッセージ構文
 8.1  自動化装置ステータス(ESU/ESR)
 8.2  検体ステータス(SSU/SSR)
 8.3  自動化装置在庫(INU/INR)
 8.4  自動化装置コマンド(EAC/EAR)
 8.5  自動化装置通知(EAN/ACK)
 8.6  自動化装置検査コード設定(TCU/TCR)
 8.7  自動化装置ログ/サービス(LSU/LSR)
9.臨床検査自動化用セグメント詳細
 9.1  EQU 装置詳細セグメント
 9.2  ISD  インタラクションステータスの詳細
 9.3  SAC 材料と採取管の詳細セグメント
 9.4  INV 在庫詳細セグメント
 9.5  ECD 装置コマンドセグメント
 9.6  ECR 装置コマンド応答セグメント
 9.7  NDS 通知詳細セグメント
 9.8  CNS 通知クリアセグメント
 9.9  TCC 検査コード設定セグメント
 9.10 TCD 検査コード詳細セグメント
 9.11 SID  物質識別セグメント
 9.12 EQP 装置ログ/サービスセグメント
10.マスタファイル
 10.1 目的
 10.2 トリガー事象
 10.3 メッセージ
 10.4 マスタ通知メッセージ共通セグメント
 10.5 一般マスタファイル
 10.6 検査項目マスタファイル
付録-1.メッセージの例
付録-2.作成者名簿
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