JAHIS標準03-02
JAHIS介護標準メッセージ仕様Ver.1.0

概要
 2000年4月より施行された介護保険制度は、当時の厚生省の指導もあり、情報化を前提として構築されました。この結果、保険者・事業者・国保連といった介護保険制度の関連機関にはシステムが導入され、介護報酬請求データの電子的なデータ交換が実現しました。これは、介護報酬請求のみに着目し、そのデータの流れを情報化したものであり、介護報酬請求に至るまでの情報交換は考慮されていませんでした。
 現状の介護、特に在宅介護の場合は一人の要介護者に多くのサービス事業者が係わり合っています。このため、より良いサービスを実現するためには、係わり合っているサービス事業者間の情報連携が非常に重要になってきます。また、この情報連携が情報システムとして実現すると、介護報酬請求の締切前に各事業者で行われていた介護報酬請求の為の業務が効率化されると伴に正確なデータが流通する事により国保連からの返戻が減少するなど、現状業務の混乱をも防止できます。
 今回、これらを実現するため、介護事業者間で頻繁にやりとりされている情報として、介護保険証・居宅サービス計画書・サービス提供票を取り上げ、これらのメッセージフォーマットを介護標準メッセージとして規定しました。
 介護標準メッセージを設計するにあたっては、下記2点を考慮しました。

①介護保険制度下において、業務の見直しや業務の追加が行われることも予想されるため、スパイラル開発を採用して要求定義の変化に対応する必要があり、複数の繰り返し開発に対する整合性や一貫性を確保する必要がある。


②連携するデータ項目は、既に施行されている介護保険制度に大きく左右される。介護保険制度では連携すべき情報を帳票(紙)で規定しているため、ここで規定するデータ項目もこれを無視することはできない。

 これらのことから、今回のメッセージ開発は、オブジェクト指向によるモデリング言語(UML:Unified Modeling Language)を採用しました。具体的には、クラス図を用いてデータモデルを設計し、そのクラス図をもとにしてデータ項目を設計しました。これにより、介護保険制度の見直しなどで、メッセージ仕様を変更する場合には、クラス図から見直すことで、変更箇所や範囲を視覚的に表現することが可能となり、変更への柔軟性を確保する事ができました。
 また、データ項目設計は、現在ネットワーク上で飛躍的な活用が見込まれる XML(eXtensible Markup Language)を採用しました。本仕様では、そのためのXMLタグセットを規定しました。XMLタグセットは将来性を加味し、DTD(Document Type Definition)とXML Schemaで規定し公開しました。
 なお、データモデル設計、データ項目設計での具体的な項目の抽出については、既存の規定(介護保険制度、帳票等)を無視することができないことから、現行介護保険制度下で使われている帳票内のデータ項目を規定してあります。
 
目 次

1.背景
2.介護標準メッセージの範囲
 2.1 介護標準メッセージの想定場面(ケース)
 2.2 介護標準メッセージの種類
 2.3 介護標準メッセージで規定するレイヤ
3. 介護標準メッセージの設計手順
4. 介護標準メッセージ仕様内容
 4.1 データモデルの内容
  4.1.1 介護保険証に関するデータモデル
  4.1.2 居宅サービス計画書に関するデータモデル
  4.1.3 サービス提供票に関するデータモデル
 4.2 メッセージ構造
  4.2.1 介護保険証情報
  4.2.2 居宅サービス計画書情報
  4.2.3 サービス提供票情報
 4.3 関連情報
  4.3.1 項目辞書
  4.3.2 データ形式一覧
  4.3.3 コード体系
付録1. XMLインスタンスへのマッピング解説書
付録2. 介護標準メッセージ仕様 【データ定義ファイル内容】

 
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