JAHIS技術文書11-101
地域医療情報連携システム
簡易なXML形式の診療データからのHL7CDA文書生成方式

 概  要
地域医療情報連携システムにおいて、一般に地域の個別医療機関が保有する電子カルテ等の診療データは、地域で共通に使用する診療情報とは異なる。したがって両者の間のデータ変換が必要である。
 一方、一般社団法人 保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)では、経済産業省「地域医療情報連携システムの標準化及び実証事業」において、脳卒中医療を対象とする地域連携パスのHL7 CDAに準拠した規格を策定した(JAHIS技術文書10-103)。CDAは柔軟かつ高度な記述が出来るので上記地域連携パスなどのデータ記述には非常に有用である。しかし、その分構造が複雑であり、個別医療機関の診療データとCDAデータとの変換ソフトを作成することは簡単ではない。
 そこで、個別医療機関の診療情報と地域の診療情報を表現するCDAデータとの間に簡易なXML形式のデータ表現を用意し、個別医療機関の診療情報はこのXML形式とインタフェースをとることにして、この簡易XML形式の診療データとCDAデータとの変換に共通ソフトを提供することによりこの問題の解消をはかった。
 これによって、個別医療機関のシステムの作成者は開発作業を効率良く行えることが期待でき、さらに作成されるデータは均一性が高いものになり、インタフェースの検証にかかる時間も短縮されることが期待できる。
 本技術文書は、この簡易XML形式の診療データの仕様、および変換共通ソフトの仕様について記述している。
 本方式は、上記JAHIS技術文書10-103で規定している地域連携パスCDA仕様だけでなく、CDA形式による診療文書一般に適用可能である。
 なお、上記のように本技術文書はHL7 CDAの仕様が複雑でCDA文書の作成が容易でないという問題意識に立脚しているが、国際的には同様の問題意識に立つGreenCDAなどの仕様がHL7 Internationalその他で議論されている。
 今後、それらの技術仕様との対応を検討していく。
 
謝辞
本技術文書は平成18年度から平成20年度にかけて実施された経済産業省「地域医療情報連携システムの標準化及び実証事業」の成果をもとに策定したものである。
 同事業は東海ネット医療フォーラム・NPO(代表理事及び事業の統括責任者:吉田純氏)が受託し、JAHISはそのもとで標準化を担当した。具体的には、脳卒中医療を対象とする地域連携パスの情報共有システムを対象として、標準化仕様の策定とその実証を行った。
 策定した標準案をもとに実証システムを開発・運用、知見をフィードバックしてくださった東海ネット医療フォーラム・NPOを中心とする方々に感謝いたします。
 また、本技術文書策定の機会を与えてくださった経済産業省に感謝いたします。
 事業詳細は、以下の報告書を参照していただきたい。
 ・平成18年度 地域医療情報連携システムの標準化及び実証事業(課題名:疾患別地域医療情報連携システムの標準化及び実証事業)事業報告書、平成21年3月、特定非営利活動法人東海ネット医療フォーラム・NPO、代表理事 吉田 純

 
2011年4月
一般社団法人 保健医療福祉情報システム工業会
電子カルテ委員会

目 次
はじめに
第1章 適用範囲  
第2章 適合性
第3章 引用規格・引用文献
第4章 用語の定義  
4.1  本書固有の用語
4.2  一般的な用語
4.3  記号および略語  
第5章  設計指針
5.1  情報連携の書式と変換共通ソフトの意義
第6章 変換共通ソフトの概要
6.1  CDA変換仕様定義からCDA作成までのフロー
6.2  CDA変換定義書の概要
6.3  変換共通ソフトウェアの概要
第7章 CDA変換仕様定義の概要
7.1  CDA書式仕様書
7.2  連携情報項目対応表
第8章 CDA変換定義書
8.1  CDA変換定義書の書式
8.2  CDA変換定義書の関係
8.3  CDA変換定義書の定義方法
  8.3.1 header-code tableの定義
  8.3.2 header-templateの定義
  8.3.3 header-instanceの定義
  8.3.4 body-code tableの定義
  8.3.5 body-templateの定義
  8.3.6 body-instanceの定義
第9章 簡易書式診療情報(XML形式) 
9.1  簡易書式診療情報(XML形式)
9.2  簡易書式診療情報(XML形式)の書式
  9.2.1 簡易書式診療情報(XML形式)の作成方法
  9.2.2 外部参照データの記述例
第10章 CDA変換例
10.1 template-type(section0/section)のCDA変換例 
10.2 template-type(observation)のCDA変換例
10.3 template-type(entry/entry Relationship)のCDA変換例
第11章 運用設計
11.1 変換共通ソフトの運用例
附属書A(参考)CDA変換定義書サンプル 
  附属書A.1 header-code table
  附属書A.2 header-template
  附属書A.3 header-instance
  附属書A.4 body-code table
  附属書A.5 body-template
  附属書A.6 body-instance
附属書B(参考)CDA変換定義書と簡易書式診療情報(XML形式)サンプル
附属書C(参考)HL7CDAサンプル
付録1: 参考文献
付録2: 作成者名簿
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