JAHIS技術文書10-103

地域医療情報連携システム HL7 CDAによる地域連携パスの情報項目及び書式
脳卒中編 (「他疾患への展開ガイド」付き)

 

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ま え が き

昨今、複数の医療施設間で情報を共有して医療を行うための地域医療情報連携システムの開発・運用が盛んになりつつある。特に平成18年度の医療制度改革で、地域医療の強化、特に地域連携クリティカルパス(以下「地域連携パス」)による情報共有、在宅医療重視などを打ち出しており、診療報酬でも点数化が進展している。それ以来各地で紙ベースの地域連携パスの開発運用が盛んになっており、これらはいずれIT化されることが予想される。

そのような背景下、一般社団法人 保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)では、経済産業省「地域医療情報連携システムの標準化及び実証事業」の成果をもとに、脳卒中医療を対象とする地域連携パスの情報項目及び書式をHL7 CDA規格に準拠した規格として規定し、技術文書としてまとめた。本技術文書では主対象疾病を脳卒中としているが、附属書に「他疾患への展開ガイド」を添付しており、本規格をもとに他疾患の地域連携パス仕様の策定も可能である。さらに、地域連携パスのみならず、地域で交換・共有する情報書式一般の策定の参考にもしていただけると考えている。

 

謝辞

本技術文書は平成18年度から平成20年度にかけて実施された経済産業省「地域医療情報連携システムの標準化及び実証事業」の成果をもとに策定したものである。
   同事業は東海ネット医療フォーラム・NPO(代表理事及び事業の統括責任者:吉田純氏)が受託し、JAHISはそのもとで標準化を担当した。具体的には、脳卒中医療を対象とする地域連携パスの情報共有システムを対象として、標準化仕様の策定とその実証を行った。
  策定した標準案をもとに実証システムを開発・運用、知見をフィードバックしてくださった東海ネット医療フォーラム・NPOを中心とする方々に感謝いたします。
   また、本技術文書策定の機会を与えてくださった経済産業省に感謝いたします。

事業詳細は、以下の報告書を参照していただきたい。

・ 平成18年度 地域医療情報連携システムの標準化及び実証事業(課題名:疾患別地域医療情報連携システムの標準化及び実証事業)事業報告書、平成21年3月、特定非営利活動法人東海ネット医療フォーラム・NPO、代表理事 吉田 純

 

2011年3月
一般社団法人 保健医療福祉情報システム工業会
電子カルテ委員会


目  次

はじめに  
第1章 適用範囲
第2章 適合性
第3章 引用規格・引用文献
第4章 用語の定義
 4.1 本技術文書固有の用語
 4.2 一般的な用語
 4.3 記号及び略号
第5章 地域連携パス診療情報文書仕様
  5.1 診療情報コンテンツ規則  
    5.1.1 多重度   
   5.1.2 選択性
   5.1.3 CDA文書レベル
   5.1.4 Null Flavor
   5.1.5 データ型
   5.1.6 診療情報コンテンツ定義表の項目
   5.1.7 コード定義表の項目
   5.1.8 XMLサンプル図定義
 5.2 文書構成
 5.3 診療情報コンテンツ定義、診療文書
   5.3.1 文書情報
   5.3.2 関連文書情報
   5.3.3 文書コンテンツ情報
   5.3.4 連携パスイベント情報
 5.4 患者個人情報(MSW記載) 
   5.4.1 患者ID
   5.4.2 患者名
   5.4.3 生年月日
   5.4.4 性別
   5.4.5 患者番号、郵便番号
   5.4.6 電話番号
 5.5 病院情報(MSW記載)
   5.5.1 診療文書作成日
   5.5.2 診療情報提供元医療機関情報
   5.5.3 診療情報提供元担当スタッフ情報
   5.5.4 データ入力者情報
   5.5.5 文書管理責任組織情報
   5.5.6 診療情報提供先情報
   5.5.7 法定認証者情報
   5.5.8 認証者情報
   5.5.9 関係者情報 
 5.6 社会的背景(MSW記載)
   5.6.1 退院・転院先
   5.6.2 キーパーソン
   5.6.3 家族構成
   5.6.4 職業
   5.6.5 住居タイプ
   5.6.6 住宅設備
   5.6.7 自宅復帰のための要件
   5.6.8 施設利用のための要件
   5.6.9 身体障害者手帳
   5.6.10 障害者年金
   5.6.11  介護保険 
   5.6.12 ケアプラン
   5.6.13 患者、家族の問題点(病状理解、障害受容等)
 5.7 治療経過(担当医記載)
   5.7.1 主診断名
   5.7.2 既往歴
   5.7.3 家族歴
   5.7.4 薬物アレルギー
   5.7.5 発症日(推定発症時間)
   5.7.6 診療期間
   5.7.7 意識レベル
   5.7.8 手術名、手術日
   5.7.9 rt-PA静注療法
   5.7.10 投薬内容
   5.7.11 治療中の合併症
   5.7.12 検査データ
   5.7.13 感染症
   5.7.14 画像データ
   5.7.15 リハを行う上で配慮が必要な事項
   5.7.16 診療説明情報
   5.7.17 診療プロブレムリスト情報
   5.7.18 入院中経過要約情報
   5.7.19 診療説明情報 反応状況
   5.7.20 視力 
   5.7.21 聴力
   5.7.22 義歯(授傷前)
   5.7.23 コミュニケーション
 5.8 生活状況
   5.8.1 生活状況内容
   5.8.2 移動
 5.9 看護の状況
   5.9.1 看護要約
   5.9.2 問題点
   5.9.3 内服薬情報
   5.9.4 安全対策
 5.10 現在の医学的管理状況(担当医・看護師記載) 
   5.10.1 身体所見
   5.10.2 気管切開
   5.10.3 経管栄養
   5.10.4 点滴
   5.10.5 経口摂取
   5.10.6 義歯
   5.10.7 膀胱カテーテル
   5.10.8 排泄
   5.10.9 睡眠
   5.10.10 監視・抑制
   5.10.11 問題行動
   5.10.12 転倒転落の危険性
   5.10.13 抑うつ
   5.10.14 関節拘縮
   5.10.15 疼痛
   5.10.16 褥瘡
   5.10.17 現在の医学的管理状況 その他
 5.11 リハビリ/ADL(担当看護師・MSW・リハスタッフ記載)  
   5.11.1 リハ開始日
   5.11.2 認知証
   5.11.3 移動手段(発症前)
   5.11.4 ADL状況(発症前)
   5.11.5 modified Rankin Score(mRS)評価
   5.11.6 Barthel index 評価
   5.11.7 FIM(Functional Independence Measure)評価
   5.11.8 主な移動手段
   5.11.9 運動麻痺
   5.11.10 Brunnstrom stage
   5.11.11 失語症
   5.11.12 失語症
   5.11.13 半側空間無視
   5.11.14 構音障害
   5.11.15 知的機能の低下、認知証
   5.11.16 疼痛
   5.11.17 筋緊張
   5.11.18 肩関節拘縮
   5.11.19 足関節拘縮
   5.11.20 握力
   5.11.21 非麻痺側膝伸展筋力低下
   5.11.22 端座位
   5.11.23 起き上がり
   5.11.24 上肢実用度
   5.11.25 1日のリハ単位数
   5.11.26 リハ実施状況
   5.11.27 リハ開始時の基本動作訓練の到達ステップ
   5.11.28 現在の基本動作訓練の到達ステップ
   5.11.29 リハビリの問題点と今後の注意点
   5.11.30 その他
 5.12 第一報
   5.12.1 第一報傷病名
   5.12.2 第一報転院後予測される問題点
   5.12.3 返信希望日
附属書A(参考)地域連携パスの診療情報CDAアウトライン 
附属書B(参考)診療情報コンテンツコード対応表 
附属書C(参考)診療情報コンテンツ理容OID 
附属書D(参考)連携パステンプレートID 
附属書E(参考)文書タイプ別地域連携パス 
附属書F(参考)他疾患への展開ガイド 
 F.1 疾患間での項目の共有 
 F.2 疾患別パスの設計ガイド
   F.2.1 連携パス項目の整理
   F.2.2 連携パス項目の分類  
     F.2.2.1 CDAヘッダ部、CDAボディ部の整理
     F.2.2.2 CDAボディ部項目の分類
   F.2.3 CDAを定義する
     F.2.3.1 J-MIX対応表
     F.2.3.2 OID対応表
     F.2.3.3 診療情報コンテンツ定義表(CDAボディ部)
  F.3 サンプルCDAボディ部、診療情報コンテンツ定義表
  F.4 サンプルCDAボディ部CDA
付録1:参考文献
付録2:作成者名簿
 

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