JAHIS技術文書17-103

JAHIS臨床検査データ交換規約を用いたPOCT実装ガイド Ver.1.0a


ま え が き

 

臨床検査データ(ここでは、病理検査、細菌検査、生理検査を除く)の情報通信においては、以前より、その情報の互換性を確保すべく、データ交換における標準化が求められており、現在では、世界規模で、各国連携を取りながら取り組まれてきている。日本における臨床検査データ交換の標準化においては、JAHISや日本IHE協会(IHE-J)などが協力をしながら活動を行ってきており、その成果として、「JAHIS臨床検査データ交換規約」が制定されている。

しかしながら、近年、医療における多様化や地域医療としての医療体制の構築(「施設」から「地域」へ「医療」から「介護」へといったシームレスな医療連携により急性期から亜急性、長期療養、そして介護医療、介護、居住/在宅系サービスへといった体制の構築)が進められてきており、それに伴い臨床現場即時検査:Point of care testing(以下 POCTと称す)の普及が目覚ましく、これらにおけるデータ交換の標準化が必要となってきている。

これを受け、2014年6月にはJAHIS臨床検査システム専門委員会及び、一般社団法人日本臨床検査自動化学会(当時、現在は一般社団法人日本医療検査科学会)POC推進委員会は、POCTの現状調査をまとめた「POCTデータ交換標準化への調査活動報告」を発表した。

日本におけるデータ交換の基本は、長年、オーダエントリー方式を基本に構築されてきているが、POCTにおいては、上述のように医療の多様化・地域医療体制の構築といった背景から、救急領域やオーダエントリーができない環境状況下において、検査が行われることも多く、オーダエントリーが無い中でのデータ交換の必要性が高まってきており、実際のデータ交換においては、様々な仕組みで行われている現状がある。

HISが導入されている環境下においては、様々な患者情報がHISへ一元化されているといった流れを踏まえ、POCTにおける分散化された測定結果においても、実運用での測定プロセスとHISへの測定結果の集約を考慮する必要がある。

このような背景を踏まえ、2017年4月に「臨床検査データ交換規約を用いたPOCT実装ガイド Ver.1.0」を制定した。その後、気付いた誤植の修正及び説明・例文の補強を行いVer.1.0aとして発行することとした。本ガイドがPOCTにおけるデータ交換の実装と普及に寄与できれば幸いである。

2020年11月
一般社団法人 保健医療福祉情報システム工業会
医療システム部会 検査システム委員会

目 次

1.    はじめに... 1
2.    主な用語... 2
3.    適用範囲... 4
 3.1     サマリ... 4
 3.2     範囲... 5
 3.3     ユースケース... 6
  3.3.1     オーダされていない検査結果... 6
  3.3.2     一時的に接続されるPOCT機器... 7
4.    メッセージ構文... 8
 4.1     非要求 Point-Of-Care検査メッセージ 依頼部門オーダなし(ORU^R30)... 8
 4.2     情報照会(QBP/RSP) 10
  4.2.1     QBP 患者基本属性照会メッセージ イベント(Q22) 10
  4.2.2     RSP 患者基本属性応答メッセージ イベント(K22) 11
  4.2.3     QBP 患者基本属性及び所在照会メッセージ イベント(ZV1) 12
  4.2.4     RSP 患者基本属性及び所在応答メッセージ イベント(ZV2) 13
5.    セグメント詳細... 14
 5.1     依頼情報... 16
  5.1.1     依頼医氏名... 16
  5.1.2     依頼医所属診療科名... 16
  5.1.3     指示日時... 17
  5.1.4     実施予定日時... 17
  5.1.5     結果報告先... 17
 5.2     患者情報... 18
  5.2.1     患者氏名(漢字、カナ)... 18
  5.2.2     患者識別コード(カルテ番号)... 18
  5.2.3     性別... 18
  5.2.4     年齢・生年月日... 18
  5.2.5     入外区分・病棟名・診療科... 19
 5.3     測定情報... 20
  5.3.1     メーカ名、システム名、機器名等... 20
  5.3.2     試薬のロット番号、使用期限... 20
  5.3.3     測定者氏名... 21
  5.3.4     検査実施日時... 21
  5.3.5     検体(材料)名... 21
  5.3.6     採取部位... 21
  5.3.7     採取容器名... 22
  5.3.8     パラメータ名および入力内容... 22
  5.3.9     検体コメント... 22
 5.4     結果情報... 23
  5.4.1     検査項目名または項目ID.. 23
  5.4.2     検査結果... 23
  5.4.3     測定単位... 23
  5.4.4     基準値範囲(上限/下限)... 24
  5.4.5     結果判定(Low/High)... 24
  5.4.6     実測値/計算値の区分... 24
  5.4.7     コメントおよび附帯情報... 25
 5.5     報告情報... 27
  5.5.1     報告状態(中間、最終)... 27
  5.5.2     結果報告者... 28
  5.5.3     報告受領者... 28
  5.5.4     結果報告日時... 29

付録―1.メッセージ例... 30
 1.    検体検査結果メッセージの例 臨床検査結果(ORU/ACK) 30
 2.    患者情報照会メッセージの例 情報照会(QBP/RSP) 32
  2.1患者基本属性照会/応答... 32
  2.2患者基本属性及び所在照会/応答... 32
付録―2.作成者名簿    33

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