JAHIS技術文書17-106

JAHIS電子版お薬手帳データフォーマット仕様書Ver.2.2
注意:この標準類は旧版です。最新版はこちらをご覧ください。


ま え が き

 平成22年5月に高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)により発表された「新たな情報通信技術戦略」では、その重点施策として「全国どこでも過去の診療情報に基づいた医療を受けられるとともに、個人が健康管理に取り組める環境を実現するため、国民が自らの医療・健康情報を電子的に管理・活用するための全国レベルの情報提供サービスを創出する。このため、第一段階として、個人が自らに対する調剤情報等を電子的に管理する仕組みを実現する。」とされている。その具体的な取り組みの1つとして「どこでもMY病院」構想が挙げられ、平成22年8月以降、IT戦略本部における医療情報化に関するタスクフォースにより、実現についての議論がされてきた。
 「どこでもMY病院」構想においては、調剤情報等を表すものとして患者個人が管理する「お薬手帳」に着目しているが、電子的に管理する場合、標準化された情報を使用することが必要であり、「電子版お薬手帳」の情報の標準化が課題であった。
 そこで、JAHISが「電子版お薬手帳データフォーマット仕様書」として医療機関・薬局から患者等に渡すお薬手帳のデータセットを検討し、技術文書としてまとめたものが、Ver.1.0である。
 Ver.1.1では、紙媒体のお薬手帳における医科診療報酬点数、歯科診療報酬点数、および調剤報酬点数の算定要件として記載すべき項目を出力できるよう、不足していた項目を追加した。
 さらに、Ver.2.0では、紙媒体のお薬手帳と同様に必要に応じて医療関係者が閲覧できるように、患者等から医療機関または薬局にお薬手帳の内容を電子データで提供するためのデータフォーマットを追加した。また、患者等が電子版お薬手帳の機器やアプリケーションを乗り換える場合なども考慮し、必要に応じて複数の調剤分をまとめて出力できるようにした。
 また、Ver.2.1では、平成28年4月の診療報酬改定に基づき項目の追加を行った。
 本仕様書Ver.2.2では、電子版お薬手帳の導入件数の増加に鑑み、調剤システム等と電子版お薬手帳システムとの連携を行うため、本仕様書で定義しているファイルレイアウトを利用したファイル連携の方法を付録2に追加した。
  本仕様書は、お薬手帳データを交換するためのデータフォーマットのみを規定しており、電子版お薬手帳の考慮すべき機能や、お薬手帳データを蓄積したりする機器やアプリケーションが満たすべき要件について規定するものではない。そのため電子版お薬手帳の開発においては、本仕様書の利用とともに、今後公開される予定である平成27年度厚生労働省委託事業「電子版お薬手帳の適切な推進に向けた調査検討事業」による検討結果もあわせて参照されたい。
 本仕様書を利用した電子版お薬手帳を医療機関・薬局が導入することは歓迎するところであるが、今後も関連する厚生労働省通知や診療報酬点数上の評価に変更が加えられることが予想されるため、診療報酬点数の算定に関する判断は、電子版お薬手帳を導入した医療機関・薬局が自己責任のもとで自ら行う必要がある。
 また、お薬手帳そのもののあり方や電子版お薬手帳の運用のあり方は、社会情勢や関係機関の議論の中で変化していくことが想定され、本仕様書についても継続的に見直しを行っていく所存であるが、利用いただく時点で必ずしも適当でない内容である可能性もある。本仕様書の利用者はその点もご留意いただくとともに、お気づきの点をフィードバックして頂けるとありがたい。
 本仕様書が「どこでもMY病院」構想の推進、ひいては患者の医療安全の向上、保健医療福祉サービスの向上を目指す医療情報標準化に多少とも貢献できれば幸いである。
 
2017年12月

一般社団法人 保健医療福祉情報システム工業会

医事コンピュータ部会 調剤システム委員会
 


目 次

1. はじめに
2. 対象範囲
2.1 医療機関・薬局から患者等への電子データの提供
2.2 患者等から医療機関・薬局への電子データの提供
2.3 お薬手帳データの移行
3. CSV形式によるデータフォーマット仕様
3.1 バージョン情報
3.2 ファイルレイアウト
3.2.1 ファイル形式
3.2.2 データの型
3.2.3 コード
3.2.4 ASCIIコード
3.2.5 注意事項等
3.2.6 情報グループとレコード情報
3.2.7 レコード出力順
3.2.8 レコード出力条件
3.2.9 各種レコードレイアウト
3.2.10 補足
別表 各種コード表
付録1 お薬手帳イメージと出力データ例
付録2 ファイルによる連携
付録3 作成者名簿
 

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