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JAHIS IHE-ITIを用いた医療情報連携基盤実装ガイド本編Ver.3.1
ま え が き
現在、我が国では250以上もの地域医療連携ネットワークが稼働している。その目的は、在宅医療連携、救急医療対策、疾病管理、健康管理など多種多様である。しかし、その本質は、本来の目的であろう医療連携であると言える。
医療連携は、医療機関間で医療情報を交換あるいは共用できる必要がある。このためには、単にネットワークで医療機関間が接続されているだけでなく、診療情報のデータを共用する医療情報連携基盤が整備されていることが前提となる。
現在は、それぞれの地域で異なる医療情報連携基盤を構築し利用している。最近では、複数のシステムベンダが提供する医療情報連携基盤の相互乗入も可能となっているが、情報を比較検討するために複数のウィンドウを開かなければならないなどの問題もあるようである。
医療情報連携基盤のあるべき姿は多種多様であり明確に定義することはできない。しかし、システムベンダが異なるために、医療連携を実現することが困難になることは避けなければならない。
この問題を解決し地域医療情報連携基盤を構築するために、本書では、厚生労働省標準規格「HS031 地域医療連携における情報連携基盤技術仕様」(以下、「IHE技術仕様」とする)を用いることを定め、何に留意すべきか、規格をどのように解釈すべきかなど、どのように実装するかを明確に記述したものである。なお、本書はIHE技術仕様を補完するものであるが、実装の詳細についてはIHE技術仕様が参照するIHE Technical Frameworkに準拠する必要がある。
本書第3版は、IHE ITIを実装する各システムベンダが第1版、第2版に基づきシステムを実装した際に、実際に直面した課題の解決を図ったものである。また、第2版まではメッセージ定義等の一部の記載を「JAHIS 地域医療連携のためのIHE ITI適用ガイド」(以下、「ITI適用ガイド」とする)を参照していたが、読者の利便性を考慮し、本書に統合した。第3.1版においては、図表の一部においてIHEの規定との不整合が確認されたため、他の記載上の不備と合わせて修正を行った。
本書が、地域医療連携システムの標準化のさらなる促進につながることを期待したい。
2018年01月
一般社団法人 保健医療福祉情報システム工業会
保健福祉システム部会
地域医療システム委員会
地域医療連携IHE-ITI検討WG・地域医療連携画像検討WG
目 次
1. はじめに... 1
1.1. 目的... 1
1.2. 適用範囲... 2
1.3. 用語・略語の定義... 5
1.4. 本書の読み方... 18
1.4.1. 本書の構成とIHE統合プロファイルの関係... 18
1.4.2. HL7 V3メッセージインタラクション... 19
1.4.3. ebRIM/ebRS. 20
1.4.4. XML定義表... 21
2. 共通要件... 23
2.1. 前提条件... 23
2.2. 情報閲覧に求められる機能... 23
2.3. 患者選択における参照モード... 24
2.4. 実装が期待されるトランザクションと想定される利用シーン... 25
2.4.1. 患者基本属性の取得... 26
2.4.2. 患者基本属性の登録、更新、削除... 28
2.4.3. ドキュメントリポジトリの登録... 35
2.4.4. ドキュメントリポジトリの差分更新... 36
2.4.5. 文書の検索と表示... 37
2.4.6. 施設登録機能... 37
2.4.7. 利用者登録機能... 37
2.4.8. ドキュメントレジストリ・リポジトリの削除... 38
2.4.9. 画像の登録... 39
2.4.10. 画像の差分更新... 45
2.4.11. 画像の検索と表示... 46
2.4.12. 他地域医療ネットワークの診療情報を参照する... 49
3. PIX/PDQ.. 51
3.1. PIXの概要... 52
3.2. トランザクション定義(PIXV3)... 53
3.2.1. 患者IDフィード(HL7 V3版)(Patient Identity Feed)[ITI-44] 54
3.2.2. 患者ID相互参照問合せ(HL7 V3版)(PIXV3 Query)[ITI-45] 107
3.2.3. 患者ID相互参照更新通知(HL7 V3版)(ITI-46)... 151
3.3. PDQ の概要... 168
3.4. トランザクション定義(PDQV3)... 168
3.4.1. 患者基本情報問合せ( HL7 V3版) [ITI-47] 169
4. XDS.b. 208
4.1. XDS.bの概要... 209
4.2. メタデータ定義... 210
4.2.1. メタデータ属性の共通仕様... 210
4.2.2. ドキュメントエントリ(Document Entry)... 219
4.2.3. サブミッションセット(SubmissionSet)... 224
4.2.4. HasMember関連... 227
4.2.5. 文書間関係(Document Relationship)... 229
4.3. トランザクション定義... 232
4.3.1. ストアドクエリ(Registry Stored Query)[ITI-18] 233
4.3.2. 文書セットの提供と登録(Provide and Register Document Set-b)[ITI-41] 258
4.3.3. 文書セットの登録(Register Document Set-b)[ITI-42] 277
4.3.4. 文書セットの読出し(Retrieve Document Set)[ITI-43] 295
4.3.5. 患者IDフィード(Patient Identity Feed HL7 V3)[ITI-44] 308
5. XDS-I.b. 309
5.1. XDS-I.bの概要... 310
5.2. メタデータ定義... 311
5.2.1. ドキュメントエントリ(Document Entry)... 311
5.2.2. XDSのメタデータ対応... 315
5.2.3. メタデータに関するその他の注意事項... 316
5.3. トランザクション定義... 317
5.3.1. 画像文書セットの提供と登録(Provide and Register Imaging Document Set - MTOM/XOP)[RAD-68] 318
5.3.2. WADO読出し(WADO Retrieve)[RAD-55] 325
5.3.3. 画像文書セットの読出し(Retrieve Imaging Document Set)[RAD-69] 333
6. XCA/XCA-I. 346
6.1. XCAの概要... 347
6.2. メタデータ定義... 348
6.2.1. ドキュメントエントリ(Document Entry)... 348
6.2.2. サブミッションセット(SubmissionSet)... 351
6.3. トランザクション定義(XCA)... 353
6.3.1. ゲートウェイ間問合せ(Cross Gateway Query)[ITI-38] 355
6.3.2. ゲートウェイ間文書読出し(Cross Gateway Retrieve)[ITI-39] 365
6.4. XCA-Iの概要... 375
6.5. トランザクション定義(XCA-I)... 376
6.5.1. 画像文書セットの読出し(Retrieve Imaging Document Set)[RAD-69] 377
6.5.2. ゲートウェイ間画像文書セットの読出し(Cross Gateway Retrieve Imaging Document Set)[RAD-75] 379
7. ATNA/CT. 390
7.1. ATNA/CTの概要... 391
7.2. トランザクション定義(ATNA/CT)... 396
7.2.1. 時刻調整(Maintain Time)[ITI-1] 397
7.2.2. ノード認証(Node Authentication)[ITI-19] 399
7.2.3. 監査イベント記録(Record Audit Event)[ITI-20] 404
8. 実装上の留意点... 415
8.1. 漢字の文字化けへの対処について... 415
8.2. 地域医療連携からの脱退への対応について... 415
8.3. アクセスコントロールの実装について... 415
8.4. PIXV3/PDQV3で使用するHL7 V3 IVL<TS>型の実装方法について... 415
8.5. SS-MIX標準化ストレージを使用したXDS.bの実装形態について... 417
8.6. XDS.bにおける文書の表示方法に関する留意事項... 417
8.7. メタデータの使用方法について... 417
8.8. 《患者IDソース》がDICOM画像を元に患者情報を生成しMPIへ登録する場合の患者名の取扱いについて 417
8.9. 《画像ドキュメントソース》がDICOM画像からメタ情報を生成して《ドキュメントリポジトリ》へ画像登録する場合の患者名の取扱いについて... 417
8.10. 画像診断レポートと画像の紐付けについて... 417
8.11. 画像診断レポート画像の参照方法について... 418
8.12. コンシューマを情報参照施設に配置した場合の留意点... 418
8.13. 複数コミュニティへの問合せについて... 418
8.14. IHEテクニカルフレームワークで使用される時刻情報について... 418
8.15. ストアドクエリ[ITI-18]における返却タイプ「ObjectRef」の使用について... 418
9. 共通データ仕様... 424
9.1. 識別子... 424
9.1.1. 識別子(人が解釈することを意図しない識別子)... 424
9.1.2. 患者識別子(PIXマネージャ)... 425
9.1.3. 患者識別子(PIXマネージャ以外)... 425
9.1.4. 患者識別子以外の識別子... 426
9.2. 氏名(漢字・カナ/ミドルネーム有)... 427
9.3. 性別... 428
9.4. 生年月日... 428
9.5. 単純名称... 429
9.6. 住所(非構造化データ)... 429
9.7. 電話番号... 430
10. コード定義... 431
11. オブジェクト識別子(OID)定義... 451
11.1. オブジェクト識別子の取得について... 451
12. 参考文献... 452
12.1. 準拠規格... 452
12.2. 参考URL. 454
12.3. 参考資料... 455
付録―1.アクセスコントロールの事例について... 456
付録―2.作成者名簿 457