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これまで病院情報システム(HIS)と放射線部門情報システム(RIS-PACS/Report)間のデータ交換においては、メーカー間での統一はもとより、同一メーカーにおいても導入施設によりその仕様が異なり、その構築に多くの費用と時間を要していた。また、医用画像の標準規格であるDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)に比べ、HL7(Health Level Seven)の実装事例もほとんどなかった。
そこで、一般社団法人 保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)では、この課題を解消すべく、標準的なデータ交換の仕組みを検討した。まず、すでにJAHISより発行されていた「臨床検査データ交換規約」や「処方データ交換規約」との共通部分の整合性に考慮しながら、HL7 Ver2.4準拠の「放射線データ交換規約 Ver.1.0」を作成した。わが国の実情に合わない部分や解釈が曖昧になりやすい部分については放射線分野に限定した注釈を加え、2003年10月にJAHIS標準として承認された。また2005年4月には、Ver.1.0に対し汎用の検査項目コードとしてJJ1017 Ver3.0を全面採用した「放射線データ交換規約 Ver.1.1」を作成している。
「放射線データ交換規約 Ver.2.0」では、HL7 Ver2.5に完全準拠するようにメッセージの見直しを行うとともに、対象範囲として実施情報(会計情報)や下流(RIS-PACS/Report間)のインタフェースを追加した。さらに、IHE-J(Integrating the Healthcare Enterprise - Japan)の活動に合わせて、コネクタソンや導入施設でのスムーズな実装を考慮した改訂を行った。2012年4月には、Ver.2.3として、臨床検査や内視鏡などの他のJAHIS標準類(最新版)との整合性を取り、文面の見直しを実施した。
2013年6月に、IHEではHL7 Ver2.5をベースとした新しいプロファイルSWF.bが日本提案により整備され、これとの整合性確保を図るため、「放射線データ交換規約Ver.3.0C」を新たに作成した。この際、データ交換規約共通編を踏まえた文章、記載フォーマットの改訂を実施している。
2016年7月にIHEテクニカルフレームワークVol.4に、日本版拡張要件が追記された。「放射線データ交換規約Ver.3.1C」では、特に患者到着通知の見直しを中心に、一部を日本独自の手順から、IHEの既設の通信手順を応用する形に改訂し、より国際的な整合性に配慮した。また、本文解説の一部についても、実装者がより理解しやすくなるよう、加筆修正を行った。
「放射線データ交換規約Ver.3.2C」では、主に「データ交換共通編Ver.1.3」との整合性確保を図るとともに、放射線部門の標準検査コードJJ1017 指針Ver 3.4で定められている最新の検査コード体系を、付録1のサンプル電文に反映している。
本規約をまとめるにあたり、ご協力いただいた関係団体や諸先生方に深く感謝する。本規約が医療資源の有効利用、保健医療福祉サービスの連携・向上を目指す医療情報標準化とデータ交換円滑化に多少とも貢献できれば幸いである。
2022年4月
一般社団法人 保健医療福祉情報システム工業会
医療システム部会 相互運用性委員会
検査システム委員会
目 次
2. 使用しているHL7について.. 2
2.1. 概要... 2
2.2. メッセージ.. 2
2.3. フィールド.. 2
2.4. メッセージ区切り文字.. 2
2.5. データ型.. 2
2.6. 各種コメント.. 5
3. 主な用語と参照規格. 10
3.1. 主な用語.. 10
3.2. 参照する外部の規格やマスタ.. 10
4. JAHIS標準テーブル.. 11
4.1. 本規約で定義するJAHIS 標準テーブル.. 11
4.2. JAHIS 標準テーブル等を用いた患者プロファイルの表現.. 12
4.3. 用語・コードの扱いについて.. 13
5. 本規約の対象範囲.. 15
5.1. 基本方針.. 15
5.2. 対象範囲.. 15
6. 放射線検査依頼・検査結果メッセージ構文. 18
6.1. 患者基本属性照会(QBP/RSP) 19
6.2. 患者情報通知(ADT/ACK) 19
6.3. 放射線検査依頼(OMG/ORG) 20
6.4. 放射線検査通知 (OMI/ORI) 22
6.5. 放射線検査結果照会(QRY/ORF) 24
6.6. 患者到着通知 (OMG/ORG) 26
6.7. 放射線検査実施報告(ORU/ACK) 28
7. 関連セグメント詳細. 30
7.1. AL1 - Patient Allergy Information Segment 患者アレルギー情報セグメント.. 31
7.2. ERR ‑ Error Segment エラーセグメント.. 31
7.3. EVN ‑ Event Type Segment 事象型セグメント.. 31
7.4. IPC - Imaging Procedure Control Segment 画像手続き制御セグメント.. 32
7.5. MSA - Message Acknowledgment Segmentメッセージ確認応答セグメント.. 34
7.6. MSH - Message Header Segmentメッセージヘッダセグメント.. 34
7.7. NTE ‑ Notes and Comments Segment 注釈コメントセグメント.. 34
7.8. OBR - Observation Request Segment 検査要求セグメント.. 35
7.9. OBX - Observation/Result Segment 検査結果セグメント.. 42
7.10. ORC ‑ Order Common Segment 共通オーダセグメント.. 57
7.11. PID - Patient Identification Segment 患者識別セグメント.. 74
7.12. PV1 - Patient Visit Segment 来院情報セグメント.. 74
7.13. QRD - Query Definition Segment 問合せ定義セグメント.. 75
7.14. QRF - Query Filter Segment 問合せフィルタセグメント.. 79
7.15. TQ1 - Timing/Quantity タイミング/数量セグメント.. 81
7.16. ZE1 - Performed Data Segment 実施情報セグメント.. 85
7.17. ZE2 - Radiation Dose Segment 曝射情報セグメント.. 87
付録‐1. 放射線データ交換規約メッセージの例. 88
付録‐2. JJ1017 Ver. 3.4の使用方法. 163
付録‐3. 作成者名簿.. 165
Ver.3.1Cからの改訂箇所. 166