JAHIS標準22-002

JAHIS放射線治療サマリー 構造化記述規約 Ver.1.0

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ま え が き
 

 医療現場において、診療記録、検査報告書、診療情報提供書、各種サマリー等多くの診療文書が使用されている。放射線治療部門において発生する多くの診療文書は、従来紙上で記述されるか、ワープロソフトや各ベンダーの独自形式での電子化あるいはPDFといった形式で作成されていることが多かった。ICTの発展と共にさらに電子的な情報共有によりそれら診療文書の情報を治療に活用したり、さらには人的ミスによる医療事故を未然に防止したりすることへの期待が高まっている。この人的ミスには、診療情報や検査結果が対象部門に十分に伝わらなかったため、それらが適切な治療に結びつかなかったことが含まれる。標準化された医療情報交換により診療部門間及び医療機関間の正確な情報連携を実現し、システム間の情報連携がスムーズで確実に行えることが望まれている。

 これらに対応するためHL7 CDA (Clinical Document Architecture)による実装も数多く試みられているが、CDAによる記述の裁量範囲が広いため、同じような目的の診療文書が異なった仕様で実装されてしまう可能性がある。そのため可能な限り共通であるべき情報は共通仕様としてまとめ、共通の考え方で実装することを目的に規約共通編(「JAHIS診療文書構造化記述規約 共通編」)が定義された。

 共通編Ver.1.0は3つの個別編とともに検討され、2015年8月に制定された。その後の経験、及びCDAに関する最新の知見を採用した「HL7 CDA に基づく退院時サマリー規約 V1.0」(2017年12月、日本HL7協会制定)の内容などを反映し、2020年5月に共通編Ver.2.0として改定された。
 
 放射線治療分野においても放射線治療サマリー標準化のニーズは高まってきており、放射線治療固有の仕様、特に日本放射線腫瘍学会が推進するJROD(Japanese Radiation Oncology Database)との整合をとりつつ、国内(Realm=JP)における基本的な部分をとりまとめ、規約共通編と組み合わせて利用することを前提に本規約を作成した。この共通編・個別編規約を利用することで電子的診療文書の基本部分の共通化、医療のICT化に期待された様々な有効性を実現するためにお役立て戴くことを期待している。

 最後に、本規約の作成にあたりJRODデータ項目へのコード付与に関して多大なご支援を頂いた公益社団法人日本放射線腫瘍学会(JASTRO)データベース委員会 中村委員長・小川副委員長・沼崎委員 に深く感謝申し上げます。


2022年4月
一般社団法人 保健医療福祉情報システム工業会
医療システム部会 検査システム委員会


目 次

1.    はじめに... 1
 1.1.     本規約と規約共通編の位置付けについて... 1
2.    CDAの特徴と扱いについて... 2
3.    主な用語と参照規格... 2
 3.1.     主な用語... 2
 3.2.     参照する他規格・マスタ... 2
4.    適用範囲... 4
5.    記載の説明... 6
 5.1.     HL7 CDA R2仕様... 6
 5.2.     規定表の記載基準... 6
6.    診療記録共通記述部... 6
7.    CDAヘッダ部... 7
 7.1.     CDA文書のための XML記述... 7
 7.2.     CDAヘッダの構成... 7
 7.3.     電子診療文書“ClinicalDocument”の構成... 7
 7.4.     ドキュメントヘッダ情報... 7
8.    CDAボディ部... 8
 8.1.     ボディ部定義... 8
 8.2.     ボディ部構成... 8
  8.2.1.     放射線治療サマリー Radiation Oncology Plan of care and summary note. 8
 8.3.     共通セクション... 9
  8.3.1.     患者付帯情報... 9
  8.3.2.     バイタルサイン... 9
 8.4.     個別セクション... 10
  8.4.1.     患者基本情報(JROD) Patient Section. 10
  8.4.2.     患者付帯情報(JROD) Patient Supplement Section. 12
  8.4.3.     疾患情報 Disease Section. 14
  8.4.4.     治療方針情報 Treatment Strategy Section. 29
  8.4.5.     外部照射情報 External Beam Treatment Section. 33
  8.4.6.     密封小線源治療情報 Brachytherapy Section. 41
  8.4.7.     非密封線源治療情報 Radiopharmaceutical Therapy Section  49
  8.4.8.     治療評価情報 Treatment Evaluation Section. 53
付録1. 本個別編で使用するコード類... 55
 付録 1.1 ヘッダ部... 55
 付録1.2 ボディ部... 55
 付録1.3 コードシステムとコード表... 56
 付録1.4 サンプルコード... 57
付録2. スキマトロン適合表... 67
付録3. 印刷/表示例... 68
付録4. 作成者名簿    69
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