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中期計画
中期計画2029について
運営会議議長 岩津 聖二
(1)業界を取巻く環境変化と今後の動向
日本の総人口に占める高齢化率(総人口に占める65歳以上人口の割合)は2024年10月現在29.3%で、2030年にはさらに高齢化が進み30.8%と予測されている。依然として世界で最も高齢化が進んだ国となっている。2024年は現役世代2.0人で65歳以上1人を支えているが、今後高齢化率は上昇、現役世代の割合は低下し、2070年にはそれが1.3人となる社会が到来する。(令和7年版高齢社会白書)
わが国はこれまで、社会保障制度の充実(国民皆保険、フリーアクセス等)と質の高い医療サービスの安定的な提供により長寿社会を実現してきたが、現在では下記の社会情勢の中で多くの課題を抱えている。
・少子高齢化の進行(生産年齢人口の減少)
・人口動態の変化(都市部への人口集中と地方の過疎化)
・医療・介護に係る公的費用の拡大(財政の圧迫)
・疾病構造の変化(生活習慣病や認知症などの慢性疾患増加)
・医療従事者の働き方改革(人手不足、研究や教育の時間圧迫)
・感染症や災害などによる社会環境や保健医療福祉情報へのニーズの変化(情報格差の是正)
これらの課題への対応として、健康・医療・介護分野のデータやICTを積極的に活用することにより、国民一人ひとりの健康寿命の延伸や国民の利便性向上を図るとともに、多忙を極める医療や介護現場において、サービスの質を維持・向上しつつ、その効率化や生産性の向上を含めたあらゆる手段を講じることにより、社会保障の持続可能性を確保することが求められている。特に、2020年に発生したCOVID-19のパンデミックは、我々の社会生活に大きな影響をもたらし、デジタル化社会への転換を加速する要因ともなった。
2022年6月の「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太方針2022)では医療分野におけるデジタル化「医療DX」の重要性が広く認識され、2023年6月に発表された「医療DXの推進に関する工程表」では、「マイナンバーカードの健康保険証の一体化の加速等」、「全国医療情報プラットフォームの構築」、「電子カルテ情報の標準化等」、「診療報酬改定DX」の進め方が具体化された。その中で、電子処方箋を実施する医療機関・薬局の拡大が図られ、2024年12月に運用が開始されたマイナ保険証は2025年12月義務化された。「診療報酬改定DX」では、2024年度改定から実施時期が4月から6月に変更となり、2026年度改定から共通算定モジュールの提供が行われる。また、標準型電子カルテに開発や電子カルテ情報共有サービスのモデル事業の推進、医療情報システム等の刷新化に向けた動きが活性化している。
「経済財政運営と改革の基本方針2024」(骨太方針2024)を受けて策定された「EBPMアクションプラン2024」及び「経済・財政新生計画改革実行プログラム2024」の中で、切れ目なく質の高い医療の効率的な提供、医療機関等の業務効率化を最終アウトカムとすべく、医療DXの実現に向けた情報基盤の整備状況を検証するとあるが、「進捗管理・点検・評価表 2025」では定量的な指標の在り方については、医療法等改正法案が成立後、2027 年度を目途に検討し、指標を設定するとなっている。
2025年6月の「経済財政運営と改革の基本方針2025」(骨太方針2025)では、サイバーセキュリティ事故を受け、経済安全保障推進法に基づき「基幹インフラ制度」への社会保険診療報酬支払基金や医療機関を追加するとあり、まずは一部の特定機能病院が対象となる見込みである。
健康増進の分野では、「二十一世紀における第三次国民健康づくり運動(健康日本21(第三次))」が進められている。“全ての国民が健やかで心豊かに生活できる持続可能な社会の実現”をビジョンとして、国民の健康の増進の推進に関する基本的な方向が次の通り示されている。
- ① 健康寿命の延伸・健康格差の縮小
② 個人の行動と健康状態の改善
③ 社会環境の質の向上
④ ライフコースアプローチを踏まえた健康づくり
また、データヘルス計画では、「健康寿命の延伸」と「医療費適正化」を図ることを狙い、2024年度から第三期に入り、データヘルス計画の標準化の推進及び効率的・効果的なデータヘルスの更なる普及が進められている。
疾患の予防、診断、治療に使用されるプログラム医療機器(SaMD : Software as a Medical Device)については、2025年においては、SaMDの薬事審査のあり方等について整理し、以下通知が発出された。2025年4月17日薬機発第492号:医療機器の変更計画の確認申請等に係る情報の公開について、2025年6月13日医薬機審発0613第1号:「疾病治療用プログラム医療機器の臨床的位置付け及び治療スキームの変更を伴わない承認事項の変更手続きについて」、2025年8月4日医薬機審発0804第1号:「プログラム医療機器等に係る優先的な審査等の試行的実施(第四回)について」。
また、2025年11月28日 医薬発1128第6号「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令の公布について」では、臨床試験の試験成績の代替するものとして厚生労働大臣が認める資料に「診療等により得られる個人の心身の状態に関する情報を分析して作成された資料(リアルワールドデータに基づく資料)」が含まれるようになった。 2025年9月に開催された「SaMD産学官連携フォーラム」では、「家庭用プログラム医療機器の普及に向けた課題の整理」と「AIを利用したSaMDの薬事規制の在り方」がテーマに議論が行われた。
このような環境変化を踏まえ、中期計画2029ではJAHISの掲げた2030ビジョンをベースとし、実現すべき4年先の姿を共有し、下記の運営方針のもとに業務を遂行する。
(2)運営方針
- ① 2023ビジョンで描くヘルスケアICTの実現に向けた推進【国民・ユーザ向け】
健康・医療・介護のデータを利活用し、個人の健康増進・予防、医療の質向上・業務効率化、公益・行政指針の活用に貢献する「データ循環型社会」の実現を目指す。そのために、政策に対する戦略的発信を行い、それに伴う標準類・実装ガイドの整備と各会員への普及を推進する。 - ② JAHIS参画価値の追求、健全な市場の維持・発展【会員向け】
③ JAHISブランドの向上、永続的な運営基盤の確立【運営基盤】
会員共通の課題対応を迅速に行い会員サービスの充実を図る。また、ヘルスケアICT市場の把握と海外を含めた新規市場の調査・活動支援を行い、活動領域の拡大とともに会員満足度の更なる向上を図る。
業界の代表として積極的に対外活動に参画・提言するための体制強化を図り、JAHISブランドの向上に努める。また、コンプライアンス体制の維持・強化を含め運営基盤の強化を推進するとともに業界に必要な人材、JAHIS運営に必要な人材の確保を行う。
(3)主要な推進施策
- ① 2030ビジョンで描くヘルスケアICTの実現に向けた推進【国民・ユーザ向け】
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健康・医療・介護分野におけるデ-タ利活用等の推進のための会議等に積極的に参画する。「医療DXの推進に関する工程表」を見据え、JAHISとしての提言を行い、他の関係団体との連携も視野に入れながら、政策に反映させるように努める。 ・医療DXの推進にとって脅威となるサイバー攻撃から、国民、ユーザを守るため、業界としてのサイバーセキュリティ対応の更なる向上に努める。 ・
各省庁・関係団体における各種連携事業やデータ利活用事業に対し、全国医療情報プラットフォームなどの共通基盤整備やデータ・用語等の標準化普及施策等に積極的に対応し、実装の推進に努める。 ・
国内、国際の動向や最新状況に基づき、JAHIS 標準類の策定、各種マスタの整備を戦略的かつ計画的に進める。 ・
JAHIS標準の国際標準化提案を行うとともに、標準化を進める上で参考となる国際規格、国際標準、体制・運用方法の調査を踏まえて、我が国における標準化の在り方について検討する。
② JAHIS参画価値の追求、健全な市場の維持・発展 【会員向け】 -
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診療・介護報酬改定、標準化動向、サイバーセキュリティ等、JAHIS会員共通の課題に対して、会員へのタイムリーな情報提供および関係機関との折衝等、迅速な対応を行う。 ・
JAHIS会員が共通で必要とする情報に関しては、セミナー・勉強会を積極的に企画・開催し、会員の技術力向上を図る。また、会員向けHP等の内容拡充を図り、情報発信を強化する。 ・
売上高調査、市場予測等の調査事業を継続するとともに、海外を含めた新たな市場や技術分野の動向を計画的に収集し、会員に有益な情報を提供する。 ・
会員向け意識調査の結果に基づくJAHIS参画価値の再評価と活動の見直しにより、会員および参加委員の満足度向上の施策を推進する。 ・
ヘルスケア産業市場の変化に柔軟に対応するため、新たな活動領域を検討する。そして、新規事業分野や地域にとらわれない新規会員の獲得を推進する。 ・
リモート会議、ハイブリッド形式、オンデマンド配信など、多様な参加形態・利用形態に対応できる環境を整備し、会員の利便性の向上に努める。
- ③ JAHISブランドの向上、永続的な運営基盤の確立 【運営基盤】
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各省庁、関係団体が実施する業界にとって有益な事業(調査研究、実証事業(PoC)等)には積極的に参画し、業界としての意見を提言するために、事業企画推進室をハブとした活動基盤を強化する。 ・
現在の体制では解決出来ない複数の部会に跨る新たな課題においては、柔軟な体制作りを行い、課題解決に向けて活動を推進する。 ・
コンプライアンス委員会を中心として、競争法等コンプライアンスに関するPDCAを回し、コンプライアンス活動の定着と強化を図る。 ・
JAHIS運営におけるICT基盤の改善を継続し、リモートワーク、ペーパーレス化のより一層の推進など、運用の効率化と管理体制の強化を図る。 ・
JAHIS活動を担う部会・委員会で活動する人材の育成や若手の活動促進のための具体的取組みを行う。また、働き方改革や雇用環境の変化を踏まえて、ノウハウを持ったJAHIS会員企業のシニア人材等が活躍できる仕組みを検討する。 ・
現在実施している教育に加えて、ヘルスケアICTの最新動向や会員の要望に応じて新規テーマの教育を企画し、人材の育成を行う。
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