JAHIS標準12-004

JAHIS内視鏡データ交換規約Ver.2.1

ま え が き
 
 医療施設における医療情報システムにおいて、内視鏡部門情報システム(EIS:Endoscopy Information System)は、年々、導入及び運用の実績が伸びている。しかしながら、これまでの病院情報システム(HIS)と内視鏡部門情報システム及び関連システム(PACS/Report)間のデータ交換においては、メーカ間での統一はもとより、同一メーカにおいても導入施設によりその仕様が異なり、接続するにあたり多くの費用と時間を要していた。
 また、病院情報関連の標準規格への対応状況においては、それぞれの規格が、放射線部門由来の規格であり、内視鏡部門の固有性や放射線部門との差異等の特徴を十分には反映してはいなかったため普及しているとは言えない状況となっていた。医用画像の標準規格であるDICOM(Digital Imaging and  Communications in Medicine)に関しては、対応実績を持つ製品はあるものの、未だその数は決して多くはない。ましてや、HL7(Health Level Seven)の実装事例はほとんどない状況であった。
 そこで、一般社団法人 保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)では、この課題を解決すべく、病院情報システムと内視鏡部門情報システムとのデータ交換の仕組みを検討した。そして、その成果として2008年8月に、世界で初めての内視鏡部門向け医療情報の標準規格となる「内視鏡データ交換規約 Ver.1.0」を作成した。
 「内視鏡データ交換規約 Ver.2.0」では、Ver1.0で盛り込まなかった「実施情報」を対象範囲に加え、「内視鏡検査実施報告(EIS-HIS)」のメッセージを定義した。具体的には、「手技情報」「医療従事者情報」「使用物品情報」等の実施情報を含む。さらに、日本IHE協会などの関係団体と協調しながら、施設でのスムーズな運用を考慮して、個々の設定値などの補足説明を加え、臨床検査や放射線などの他のJAHIS標準類との整合をとり、解釈や表現を見直してわかりやすくしたものが本書(Ver.2.1)である。
 
 本規約をまとめるにあたり、ご協力いただいた関係団体や諸先生方に深く感謝する。また、本規約が医療資源の有効利用、保健医療福祉サービスの連携・向上を目指す医療情報標準化とデータ交換の円滑化に多少なりとも貢献できれば幸いである。
 
2012年10月
一般社団法人 保健医療福祉情報システム工業会
相互運用性委員会
検査システム委員会

目 次
 
1. はじめに           
2. HL7概要           
3. 主な用語          
4. 内視鏡データ交換規約の対象範囲    
5. 関連情報詳細    
 5.1 HL7メッセージについて
 5.2 フィールドについて       
 5.3 MESSAGE DELIMITERSメッセージ区切り文字
 5.4 DATA TYPES データ型 
 5.5 患者プロファイルコードについて
 5.6 検査結果コメントの扱い
 5.7 用語・コードの扱いについて         
6. 内視鏡検査依頼・検査結果メッセージ構文       
 6.1 患者情報照会(QRY/ADR)           
 6.2 患者情報通知(ADT/ACK)           
 6.3 内視鏡検査依頼照会(OSQ/OSR) 
 6.4 内視鏡検査依頼(OMG/ORG)      
 6.5 内視鏡検査通知 (OMI/ORI)        
 6.6 内視鏡検査結果照会(QRY/ORF) 
 6.7 患者到着通知 (ORU/ACK)         
 6.8 検査報告書状態通知(MDM/ACK)
 6.9 検査報告書通知(MDM/ACK)       
 6.10 内視鏡検査実施報告 (OMI/ORI)
7. 関連セグメント詳細           
 7.1 MSH – MESSAGE HEADER SEGMENTメッセージヘッダセグメント1
 7.2 NTE   NOTES AND COMMENTS SEGMENT 注釈コメントセグメント           
 7.3 PID – PATIENT IDENTIFICATION SEGMENT 患者識別セグメント
 7.4 PV1 – PATIENT VISIT SEGMENT 来院情報セグメント 
 7.5 ORC   ORDER COMMON SEGMENT 共通オーダセグメント       
 7.6 OBR – OBSERVATION REQUEST SEGMENT 検査要求セグメント
 7.7 OBX – OBSERVATION/RESULT SEGMENT 検査結果セグメント 
 7.8 TQ1 – TIMING/QUANTITY タイミング/数量セグメント  
 7.9 IPC – IMAGING PROCEDURE CONTROL SEGMENT  画像手続き制御セグメント        
 7.10 MSA – MESSAGE ACKNOWLEDGMENT SEGMENTメッセージ応答セグメント           
 7.11 ERR   ERROR SEGMENT エラーセグメント 
 7.12 QRD – QUERY DEFINITION SEGMENT 問合せ定義セグメント
 7.13 QRF – QUERY FILTER SEGMENT 問合せフィルタセグメント     
 7.14 TXA – TRANSCRIPTION DOCUMENT HEADER SEGMENT  電子媒体化文書ヘッダセグメント
 7.15 EVN   EVENT TYPE SEGMENT 事象型セグメント     
 7.16 ZE1   PERFORMED DATA SEGMENT 実施情報セグメント        
 
付録‐1.消化器内視鏡検査依頼メッセージの例    
付録‐2.消化器内視鏡オーダ用サンプルマスタ VER.1.0      
付録‐3.消化器内視鏡オーダ用サンプルマスタの使用例     
付録‐4. 作成者名簿            
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