JAHIS標準08-003
JAHIS内視鏡データ交換規約Ver.1.0

ま え が き
 
 病院内における部門情報システムでは、内視鏡部門情報システム(EIS:Endoscopy Information System)においても、導入及び運用とも年々の実績が伸びている。しかしながら、これまでの病院情報システム(HIS)と内視鏡部門情報システム(EIS)及び関連システム(PACS/Report)間のデータ交換においては、メーカ間での統一はもとより、同一メーカにおいても導入施設によりその仕様が異なり、接続するにあたり多くの費用と時間を要していた。
 また、医療情報関連の標準規格への対応状況では、医用画像の標準規格であるDICOM(Digital Imaging and  Communications in Medicine)に対しては、対応実績を持つ製品はあるものの未だその数は決して多くはなく、ましてや、HL7(Health Level Seven)の実装事例はほとんどなかった。
 加えて、これらDICOMやHL7といった規格は、内視鏡部門の固有性や放射線部門との差異等の特徴を十分には反映してはいなかった。実態として、多くは放射線部門向けの内容を内視鏡部門へ当てはめて用いていたか、あるいは、内視鏡を放射線関連のモダリティの一つと見立てて実装したものとなっていた。
 このため、規格の適用に当り、不十分な点や適用し辛いところが出てくることになり、これも標準規格の適用が進まない一つの理由にもなっていた。
 そこで、保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)では、この課題を解消すべく、病院情報システム(HIS)と内視鏡部門システム(EIS-PACS/Report)とのデータ交換の仕組みを検討した。まず、すでにJAHISより発行されていた「放射線データ交換規約」を雛形として、病院内の情報システムとしての整合性の観点からその他規約を考慮し、かつ、内視鏡部門におけるIHE展開を想定した上で、HL7 Ver2.5 準拠の「内視鏡データ交換規約 Ver.1.0」を作成した。
 内視鏡部門向けの医療情報関連規格や標準の用意が十分ではないということは国内外も同様であり、国際的なベースラインというものが存在していない状況である。今回作成した「内視鏡データ交換規約 Ver.1.0」は日本固有の特徴を含むものであるが、世界で始めての内視鏡部門向け医療情報の標準規格となるものである。従って、この成果が国内での認知と定着のみならず、国外の内視鏡部門の規格整備及び国際的ベースラインへの検討へと契機になることを望むものである。
2008年8月
保健医療福祉情報システム工業会
相互運用性委員会
検査システム委員会
目 次
1. はじめに 1
2. HL7概要 2
3. 主な用語 3
4. 内視鏡データ交換規約の対象範囲 4
5. 関連情報詳細 7
 5.1 HL7メッセージについて 7
 5.2 フィールドについて 7
 5.3 MESSAGE DELIMITERSメッセージ区切り文字 11
 5.4 DATA TYPES データ型 13
 5.5 患者プロファイルコードについて 42
 5.6 検査結果コメントの扱い 43
6. 内視鏡検査依頼・検査結果メッセージ構文 47
 6.1 患者情報照会(QRY/ADR) 47
 6.2 患者情報通知(ADT/ACK) 48
 6.3 内視鏡検査依頼照会(OSQ/OSR) 49
 6.4 内視鏡検査依頼(OMG/ORG) 51
 6.5 内視鏡検査結果照会(QRY/ORF) 53
 6.6 患者到着通知 (ORU/ACK) 55
 6.7 内視鏡検査通知 (OMI/ORI) 56
 6.8 検査報告書状態通知(MDM/ACK) 58
 6.9 検査報告書通知(MDM/ACK) 59
7. 関連セグメント詳細 60
 7.1 MSH – MESSAGE HEADER SEGMENTメッセージヘッダセグメント 60
 7.2 NTE NOTES AND COMMENTS SEGMENT 注釈コメントセグメント 65
 7.3 PID – PATIENT IDENTIFICATION SEGMENT 患者識別セグメント 67
 7.4 PV1 – PATIENT VISIT SEGMENT 来院情報セグメント 75
 7.5 ORC ORDER COMMON SEGMENT 共通オーダセグメント 80
 7.6 OBR – OBSERVATION REQUEST SEGMENT 検査要求セグメント 96
 7.7 OBX – OBSERVATION/RESULT SEGMENT 検査結果セグメント 104
 7.8 TQ1 – TIMING/QUANTITY タイミング/数量セグメント 109
 7.9 IPC – IMAGING PROCEDURE CONTROL SEGMENT 画像手続き制御セグメント 113
 7.10 MSA – MESSAGE ACKNOWLEDGMENT SEGMENTメッセージ応答セグメント 116
 7.11 ERR ERROR SEGMENT エラーセグメント 118
 7.12 QRD – QUERY DEFINITION SEGMENT 問合せ定義セグメント 122
 7.13 QRF – QUERY FILTER SEGMENT 問合せフィルタセグメント 126
 7.14 TXA – TRANSCRIPTION DOCUMENT HEADER SEGMENT  電子媒体化文書ヘッダセグメント 129
 7.15 EVN EVENT TYPE SEGMENT 事象型セグメント 135
付録‐1.消化器内視鏡検査依頼メッセージの例 137
付録‐2.消化器内視鏡オーダ用サンプルマスタ VER.1.0 230
付録‐3.消化器内視鏡オーダ用サンプルマスタの使用例 235
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