JAHIS標準06-003
JAHIS放射線データ交換規約Ver.2.0

ま え が き
 
 これまで病院情報システム(HIS)と放射線部門システム(RIS-PACS/Report)間のデータ交換においては、メーカ間での統一はもとより、同一メーカにおいても導入施設によりその仕様が異なり、接続するにあたり多くの費用と時間を要していた。また、医用画像の標準規格であるDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)に比べ、HL7(Health Level Seven)の実装事例もほとんどなかった。
 そこで、保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)では、この課題を解消すべく、病院情報システム(HIS)と放射線部門システム(RIS-PACS/Report)とのデータ交換の仕組みを検討した。まず、すでにJAHISより発行されていた「臨床検査データ交換規約」や「処方データ交換規約」との共通部分の整合性に考慮しながら、HL7 Ver2.4 準拠の「放射線データ交換規約 Ver.1.0」を作成した。HL7の第4章オーダ入力を中心に、第2章コントロールおよび第3章患者管理などから放射線分野に関係する部分をまとめている。わが国の実情に合わない部分や解釈が曖昧になりやすい部分については放射線分野に限定した注釈を加え、2003年10月にJAHIS標準として承認された。また、2005年4月には、Ver.1.0に対し、汎用の検査項目コードとしてJJ1017 Ver3.0 を全面採用した「放射線データ交換規約 Ver.1.1」を作成している。
 今回の「放射線データ交換規約 Ver.2.0」では、HL7 Ver2.5に完全準拠するようにメッセージの見直しを行うと共に、対象範囲として、従来からのHIS-RIS間のインタフェースに加え、これまでスコープ外にしていた実施情報(会計情報)や下流(RIS-PACS/Report間)のインタフェースを追加した。さらに、IHE-J(Integrating the Healthcare Enterprise – Japan)の活動を睨みながら、コネクタソンやフィールドでのスムーズな実装を考慮して、個々のフィールド値の設定方法などの補足説明を加えている。
 本規約をまとめるにあたり、ご協力いただいた関係団体や諸先生方に深く感謝する。本規約が医療資源の有効利用、保健医療福祉サービスの連携・向上を目指す医療情報標準化とデータ交換円滑化に多少とも貢献できれば幸いである。
2007年2月
保健医療福祉情報システム工業会
メッセージ交換委員会
医用画像システム委員会

目 次
1.はじめに
2.HL7概要
3.主な用語
4.放射線データ交換規約の対象範囲
5.関連情報詳細
 5.1 HL7メッセージについて
 5.2 フィールドについて
 5.3 メッセージ区切り文字
 5.4 データ型
 5.5 患者プロファイルコードについて
 5.6 検査結果コメントの扱い
6.放射線検査依頼・放射線検査結果メッセージ構文
 6.1 患者情報照会(QRY/ADR)
 6.2 患者情報通知(ADT/ACK)
 6.3 放射線検査依頼照会(OSQ/OSR)
 6.4 放射線検査依頼(OMG/ORG)
 6.5 放射線検査結果照会(QRY/ORF)
 6.6 到着確認報告 (ORU/ACK)
 6.7 放射線検査通知(OMI/ORI)
 6.8 放射線検査実施情報(OMI/ORI)
7.セグメント詳細
 7.1 MSH メッセージヘッダセグメント
 7.2 NTE 注釈・コメントセグメント
 7.3 PID 患者識別セグメント
 7.4 PV1 来院情報セグメント
 7.5 ORC 共通オーダセグメント
 7.6 OBR 検査要求セグメント
 7.7 OBX 検査結果セグメント
 7.8 TQ1 タイミング/数量セグメント
 7.9 IPC 画像手続き制御セグメント
 7.10 MSA メッセージ識別セグメント
 7.11 ERR エラー情報セグメント
 7.12 QRD 照会定義セグメント
 7.13 QRF 照会フィルタセグメント
 7.14 ZE1 実施情報セグメント
 7.15 ZE2 曝射情報セグメント

付録-1.検査依頼メッセージの例
付録-2.検査実施メッセージの例
付録-3.JJ1017 Ver3.0の使用方法
付録-4.IHE-Jコネクタソン関連資料
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