JAHIS標準03-01
JAHIS放射線データ交換規約Ver.1.0

概要
 
国内においては、従来、病院情報システムと放射線部門情報管理システムのデータ交換において、メーカ間での統一はもとより、同一メーカにおいても導入ユーザによってその仕様が異なり、接続するにあたり多くの手間を要しています。保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)は、この問題に対処するために、医用画像システム委員会においてデータ交換項目の標準化の検討を行いました。
 本規約は、医用画像システム委員会での検討結果をベースにしたものをベースに放射線部門に関わる標準的なメッセージ交換規約をめざし検討をおこないました。基本的にはHL7V2.4に準拠したものですが、すでにJAHISより発行されている「臨床検査データ交換規約」「処方データ交換規約」との共通部分の整合性を考慮し、メッセージ交換委員会を中心にとりまとめたものです。
  放射線検査においては、医用画像の標準規格であるDICOMと比較して、HL7の普及は残念ながらまだまだの段階です。従来、検体検査のユースケースを元に開発されたHL7は放射線検査には向かないという評価があったということもありますが、実際にいくつかの例外を除いて、HL7による放射線検査オーダの構築はあまり見られません。
  政府が出した電子カルテのグランドデザインを背景に電子カルテ構築が加速しています。グランドデザインの中では標準規格・コードを用いたシステム構築を推奨しています。電子カルテシステムと放射線部門で使用される情報システムとの間では、標準コードを使用して、DICOMとHL7といった標準規格による接続が望まれています。
 1999年に米国で始まったIHE(Integrating the Healthcare Enterprise)の活動では、DICOMとHL7を使用してシステム間接続を行う際に、規格の解釈の違いによる問題を解決するために、DICOMやHL7の解釈や実際の使い方をフレームワークとして決めています。そのフレームワークに従えばマルチベンダのシステムの比較的容易に構築できるというところを目指しているのです。ただ、米国と日本での放射線検査依頼のワークフローや検査情報の詳細度の違いにより、米国で検討された内容が日本での運用にそのまま適用することは難しい部分もあります。
  これらの状況を背景に、今回、放射線検査に関するHL7の適用を検討し、「JAHIS 放射線データ交換規約 Ver.1.0」としてまとめました。この規約をまとめるにあたり、資料のご提供およびご助言をいただいた、関係団体と諸先生方に感謝いたします。
 
目 次

1. はじめに
2. HL7概要
3. 主な用語
4. 放射線データ交換規約の対象範囲
5. 関連情報詳細
 5.1 HL7メッセージについて
 5.2 フィールドについて
 5.3 メッセージ区切り文字
 5.4 データ型
 5.5 患者プロファイルコードについて
 5.6 検査結果コメントの扱い
6. 放射線検査依頼・放射線検査結果メッセージ構文
 6.1 患者情報照会(QRY/ADR)
 6.2 患者情報通知(ADT/ACK)
 6.3 放射線検査依頼照会(OSQ/OSR)
 6.4 放射線検査依頼(ORM/ORR)
 6.5 放射線検査結果照会(QRY/ORF)
 6.6 到着確認報告、放射線検査結果(ORU/ACK)
7. セグメント詳細
 7.1 MSH メッセージヘッダセグメント
 7.2 NTE 注釈・コメントセグメント
 7.3 PID 患者識別セグメント
 7.4 PV1 来院情報セグメント
 7.5 ORC 共通オーダセグメント
 7.6 OBR 検査要求セグメント
 7.7 OBX 検査結果セグメント
 7.8 MSA メッセージ識別セグメント
 7.9 ERR エラー情報セグメント
 7.10 QRD 照会定義セグメント
 7.11 QRF 照会フィルタセグメント
   
付録.検査依頼メッセージの例
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