HIMSS26

世界の医療DXは、もう次のステージへ - HIMSS26が示したAI・相互運用性・病院変革の現在地

HIMSS26調査報告書(PDF)

 本報告書は、世界最大級のヘルスケアITカンファレンス「HIMSS26」で示された最新動向を単なるイベント記録としてまとめたものではありません。AI、相互運用性、デジタルヘルス、サイバーセキュリティ、データ活用といった個別の技術トレンドを俯瞰しながら、それらが医療機関の経営改革や臨床業務改革にどのような変化をもたらしているのかを整理した実践的なレポートです。

 HIMSS26で特に印象的だったのは、生成AIをはじめとするAI技術が「将来の可能性」ではなく、「既に成果を創出している実装技術」として扱われていたことです。多くの講演や展示では、医師・看護師の業務負荷軽減、診療支援、患者体験向上、病院運営の効率化など、AI導入による具体的な成果が紹介されていました。一方で、AI導入の成否は技術そのものではなく、ガバナンス、人材育成、業務プロセス改革、ROI評価にかかっていることも強調されており、日本の医療機関やベンダにとって極めて示唆に富む内容となっています。
 
 また、医療情報システムの根幹ともいえる「相互運用性」は、世界的に新たな段階へ進みつつあります。TEFCA、HL7 FHIR、International Patient Summary(IPS)などの標準化活動が着実に進展し、地域・組織・国境を越えた医療データ連携が現実のものとなり始めています。本報告書では、各国の先進事例や制度動向を通して、医療データ流通基盤がどのような価値を生み出し、今後日本がどのような方向性を目指すべきかについて考察しています。

 さらに注目すべき点は、デジタル変革が情報システム部門だけのテーマではなく、病院経営そのものの課題として認識されていることです。先進医療機関では、AI・データ活用・セキュリティ対策・業務改革が一体となって推進されており、経営層が主導的な役割を果たしています。本報告書では、メイヨークリニックや大規模医療システム、海外先進病院の取り組みを通じて、DX推進の成功要因と失敗要因を多面的に分析しています。

 サイバーセキュリティについても、もはやIT部門だけの課題ではなく、医療継続性や患者安全に直結する経営課題として取り上げられています。医療機関を対象としたサイバー攻撃が世界的に増加する中、ゼロトラスト、サプライチェーンリスク管理、規制対応などの最新動向が整理されており、医療システムの企画・開発・運用に携わる全ての関係者にとって重要な示唆を提供しています。

 本報告書を読んでいただくことで、世界の先進医療機関はどこへ向かおうとしているのか、日本の医療DXは何を学ぶべきなのか、そして医療情報システムベンダや医療機関は今後どのような戦略を描くべきなのかを具体的に考えることができます。AI活用の実像、国際標準化の進展、病院DXの成功事例、そして医療データ活用の未来像までを網羅した本報告書は、医療情報システムに関わる全ての関係者にとって、今後数年間の方向性を考える上での重要な羅針盤となるでしょう。世界の最前線で何が起きているのか。その答えをぜひ本文でご確認いただきたいと思います。


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