JAHIS標準14-006

JAHIS病理・臨床細胞データ交換規約Ver.2.0C
注意:この標準類は旧版です。最新版はこちらをご覧ください


ま え が き

 病院内における部門情報システムでは、病理・臨床細胞部門情報システム(APIS: Anatomic Pathology Information System)においても、導入及び運用とも年々の実績が伸びている。

これまで病院情報システム(HIS)と病理・臨床細胞部門情報システム(APIS)間のデータ交換においては、メーカ間での統一はもとより、同一メーカにおいても導入施設によりその仕様が異なり、接続するにあたり多くの費用と時間を要していた。

また、医療情報関連の標準規格への対応状況では、医用画像の標準規格であるDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)に対しては、病理・臨床細胞分野では対応実績を持つ製品がなく、またVirtual Slide SystemにおいてはDICOM規格そのものが検討段階である。ましてや、HL7(Health Level Seven)の実装事例はほとんどなかった。

そこで、一般社団法人 保健医療福祉情報システム工業会(JAHIS)では、この課題を解消すべく、病院情報システム(HIS)と病理・臨床細胞部門情報システム(APIS)とのデータ交換の仕組みを検討した。

まず、すでにJAHISより発行されていた「JAHIS臨床検査データ交換規約」や「内視鏡データ交換規約」を参考にするとともに、共通部分の整合性に考慮しながら、HL7 Ver2.5 準拠の「JAHIS病理・臨床細胞データ交換規約 Ver.1.0」を作成した。その後、制定から1ヵ年が経過した時点で見直しを行いVer.1.1として発行し、今回、「JAHISデータ交換規約(共通編)」が制定されたため、病理・臨床細胞部門個別編として「JAHIS病理・臨床細胞データ交換規約 Ver.2.0C」を作成した。

病理・臨床細胞部門向けの医療情報関連規格や標準の用意が十分ではないということは国内外も同様であり、国際的なベースラインというものが存在していない状況である。今回作成した「病理・臨床細胞データ交換規約」は日本固有の特徴を含むものであるが、世界で初めての病理・臨床細胞部門向け医療情報の標準規格となるものである。従って、この成果が国内での認知と定着のみならず、国外の病理・臨床細胞部門の規格整備及び国際的ベースラインの検討への契機になることを望むものである。

本規約をまとめるにあたり、ご協力いただいた関係団体や諸先生方に深く感謝する。本規約が医療資源の有効利用、保健医療福祉サービスの連携・向上を目指す医療情報標準化とデータ交換円滑化に多少とも貢献できれば幸いである。

2014年9月
一般社団法人 保健医療福祉情報システム工業会
相互運用性委員会
検査システム委員会


目 次

1. はじめに... 1
2. 使用しているHL7について... 2
 2.1 概要... ... 2
 2.2 メッセージ... ... 2
 2.3 フィールド... ... 2
 2.4 メッセージ区切り文字... 2
 2.5 データ型... ... 2
3. 主な用語... 3
4. JAHIS標準テーブル... 4
 4.1 患者プロファイルコードについて... 4
 4.2 用語・コードの扱いについて... 6
  4.2.1 依頼情報について(内視鏡部門連携の観点から). 6
  4.2.2 HL7定義以外の表... 6
 4.3 検査結果コメントの扱い... 7
  4.3.1. OBXに伴う叙述的報告について... 7
  4.3.2 叙述的報告の共通成分に使う検査IDを定義するための接尾辞の解説... 8
5. 病理・臨床細胞データ交換規約の対象範囲... 12
6. 病理診断・臨床細胞検査依頼・結果メッセージ構文... 15
 6.1 患者情報照会(QBP/RSP). 16
 6.2 患者情報通知(ADT/ACK). 17
 6.3 病理診断・臨床細胞検査依頼照会(OSQ/OSR). 18
  6.3.1 OSQ/OSR – 病理診断・臨床細胞検査依頼照会イベント(Q06). 18
 6.4 病理診断・臨床細胞検査依頼(OML/ORL). 19
  6.4.1 OML – オーダメッセージ(病理診断・臨床細胞検査依頼)イベント(O21). 19
  6.4.2 ORL – オーダ応答メッセージ(病理診断・臨床細胞検査依頼応答)イベント(O22)  21
 6.5 病理診断・臨床細胞検査結果情報照会(QBP/RSP). 22
  6.5.1 QBP/RSP – 病理診断・臨床細胞検査結果情報の照会イベント(ZB5、ZB6). 22
 6.6 検体到着通知(ORU/ACK). 23
  6.6.1 ORU/ACK – 検体到着通知(R01). 23
 6.7 報告書状態通知(MDM/ACK). 24
  6.7.1 MDM/ACK – 報告書状態通知(T02). 24
7. 関連セグメント詳細... 25
 7.1 ERR - Error Segment エラー情報セグメント... 26
 7.2 EVN - Event Type Segment 事象型セグメント... 27
 7.3 MSA - Message Acknowledgment Segment メッセージ応答セグメント... 28
 7.4 MSH - Message Header Segment メッセージヘッダセグメント... 29
 7.5 NTE - Notes and Comments Segment 注釈コメントセグメント... 30
 7.6 OBR - Observation Request Segment 検査要求セグメント... 31
 7.7 OBX - Observation/Result Segment 検査結果セグメント... 43
 7.8 ORC - Order Common Segment 共通オーダセグメント... 50
 7.9 PID - Patient Identification Segment 患者識別セグメント... 69
 7.10 PV1 - Patient Visit Segment 来院情報セグメント... 70
 7.11 QAK - Query Acknowledgment Segment 照会応答セグメント... 71
 7.12 QPD - Query parameter definition 照会パラメータ定義... 72
 7.13 QRD - Query Definition Segment 問合せ定義セグメント... 75
 7.14 QRF - Query Filter Segment 問合せフィルタセグメント... 79
 7.15 RCP - response control parameter segment 応答制御パラメータセグメント... 81
 7.16 SAC - Specimen And Container Detail Segment 検体とコンテナの詳細セグメント    83
 7.17 SPM - Specimen Segment 検体セグメント... 91
 7.18 TQ1 - Timing/Quantity タイミング/数量セグメント... 101
 7.19 TXA - Transcription Document Header Segment 電子媒体化文書ヘッダセグメント    102
付録‐1. メッセージの例... 110
 Case 1 組織診におけるオーソドックスなオーダ... 110
 Case 2 術中迅速組織... 125
 Case 3 細胞診におけるオーソドックスなオーダ... 138
 Case 4 他院標本... ... 151
 Case 5 免疫染色を臨床側から依頼する場合... 164
 Case 6 検査取り消し... 179
付録‐2. 共通メッセージの例... 182
 Case 7 患者基本属性の問い合わせ... 182
 Case 8 患者情報の通知... 185
 Case 9 オーダ状態に対する問い合わせ... 187
 Case 10 結果情報の問合せ... 190
付録‐3. 病理・臨床細胞オーダ用サンプルマスタ Ver.1.0. 194
付録‐4. 作成者名簿... 201
改訂履歴... 202
 

 

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