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事業計画
2024年度事業計画概要(2024年度事業計画書より抜粋)
Ⅰ.運営の方針 |
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1.業界を取り巻く環境変化と今後の動向 |
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日本の総人口に占める高齢化率は2022年現在29.0%で、中期計画の2027年ではさら
に高齢化が進み30.0%と予測されている。依然として世界で最も高齢化が進んだ国となってい る。また、既に減少に転じている生産年齢人口は、2025年以降さらに減少が加速するとみられ ている。(令和5年版高齢社会白書) わが国はこれまで、社会保障制度の充実(国民皆保険、フリーアクセス等)と質の高い医療サー ビスの安定的な提供により長寿社会を実現してきたが、現在では下記の社会情勢の中で多くの課題 を抱えている。 |
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● 少子高齢化の進行 ● 人口動態の変化 ● 医療・介護に係る公的費用の拡大 ● 疾病構造の変化 ● 医療従事者の働き方改革 ● 感染症や災害などによる社会環境や保健医療福祉情報へのニーズの変化 |
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これらの課題への対応として、健康・医療・介護分野のデータやICTを積極的に活用すること により、国民一人ひとりの健康寿命の延伸や国民の利便性向上を図るとともに、多忙を極める医療 や介護現場において、サービスの質を維持・向上しつつ、その効率化や生産性の向上を含めたあら ゆる手段を講じることにより、社会保障の持続可能性を確保することが求められている。 特に、2020年に発生したCOVIDー19のパンデミックは、我々の社会生活に大きな影響を もたらし、デジタル化社会への転換を加速する要因ともなった。 政府が2022年6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2022新しい資本主義 へ~課題解決を成長のエンジンに変え、持続可能な経済を実現~」(骨太方針2022)では、 「医療DXの推進」が掲げられ、「全国医療情報プラットフォームの創設」、「電子カルテ情報の 標準化等」および「診療報酬改定DX」に取り組むことが明記された。 これを受け、2022年10月には、内閣総理大臣を本部長とし関係閣僚により構成される「医療 DX推進本部」が設置された。 医療DX推進本部、厚生労働省は2023年6月に「医療DXの推進に関する工程表」を発表。 基本的な考えとして、下記を掲げ、具体的には「マイナンバーカードの健康保険証の一体化の加速 等」、「全国医療情報プラットフォームの構築」、「電子カルテ情報の標準化等」、「診療報酬改 定DX」を進めるとされた。 ・医療DXに関する施策の業務を担う主体を定め、その施策を推進することにより、①国民のさら なる健康増進、②切れ目なく質の高い医療等の効率的な提供、③医療機関等の業務効率化、 ④システム人材等の有効活用、⑤医療情報の二次利用の環境整備の5点の実現を目指していく ・サイバーセキュリティを確保しつつ、医療DXを実現し、保健・医療・介護の情報を有効に活用 していくことにより、より良質な医療やケアを受けることを可能にし、国民一人一人が安心して、 健康で豊かな生活を送れるようになる 以下は、工程表の概要(抜粋、要約)である。 ・マイナンバーカードの健康保険証の一体化の加速等 ・訪問診療・訪問看護等、柔道整復師・あん摩マッサージ師・はり師・きゅう師の施術所等での オンライン資格確認の構築、スマートフォンでの健康保険証利用の仕組みの導入等の取組を進 め、2024年秋の健康保険証の廃止を目指す。 ・生活保護(医療扶助)でのオンライン資格確認を2023年度中に導入する。 ・全国医療情報プラットフォームの構築 ・オンライン資格確認等システムを拡充し、保健・医療・介護の情報を共有可能な「全国医療情 報プラットフォーム」を構築する。 ・電子処方箋は2024年度中の普及に努める。 ・2024年度中に運用開始を目指す電子カルテ情報共有サービス(仮称)に登録することで、 医療機関や薬局との間で電子カルテ情報等を共有・交換する。 ・自治体検診情報、介護保険、予防接種、母子保健、公費負担医療や地方単独の医療費助成など に係るマイナンバーカードを利用した情報連携を実現する。 ・民間PHR事業者団体やアカデミアと連携したライフログデータの標準化や流通基盤の構築等 を通じ、ユースケースの創出支援を行う。 ・医療情報の二次利用について、そのデータ提供の方針、信頼性確保のあり方、連結の方法、審 査の体制、法制上あり得る課題等の論点について整理し検討するため、2023年度中に検討 体制を構築する。 ・電子カルテ情報の標準化等 ・3文書6情報の共有を進め、2023年度に透析情報及びアレルギーの原因となる物質のコー ド情報について、2024年度に蘇生処置等の関連情報や歯科・看護等の領域における関連情 報について、標準規格化を行う。 ・2024年度中に、特に救急時に有用な情報等の拡充を進めるとともに、救急時に医療機関に おいて患者の必要な医療情報が速やかに閲覧できる仕組みを整備する。 ・薬局との情報共有のため、必要な標準規格(HL7 FHIR)への対応等を検討する。 ・標準型電子カルテについて、2023年度に必要な要件定義等に関する調査研究を行い、 2024年度中に開発に着手する。 ・遅くとも2030年には、概ねすべての医療機関において、必要な患者の医療情報を共有する ための電子カルテの導入を目指す。 ・診療報酬改定DX ・2024年度に医療機関等の各システム間の共通言語となるマスタ及びそれを活用した電子点 数表を改善・提供する。 ・2026年度に共通算定モジュールを本格的に提供。共通算定モジュール等を実装した標準型 レセコンや標準型電子カルテの提供により、医療機関等のシステムを抜本的に改革し、医療機 関等の間接コストを極小化する。 ・診療報酬改定の施行時期の後ろ倒しに関して、実施年度及び施行時期について、中央社会保険 医療協議会の議論を踏まえて検討する。 さらに「医療DXの推進に関する工程表」と間をおかずして閣議決定された「経済財政運営と改 革の基本方針2023加速する新しい資本主義~未来への投資の拡大と構造的賃上げの実現~」 (骨太方針2023)では、「医療DX推進本部において策定した工程表に基づき、医療DXの推 進に向けた取組について必要な支援を行いつつ政府を挙げて確実に実現する」と記載され、以下の 項目等が明記された。 ・マイナンバーカードによるオンライン資格確認の用途拡大 ・2024年秋の健康保険証の廃止 ・「全国医療情報プラットフォーム」の創設 ・電子カルテ情報の標準化等の推進 ・PHRとして本人が検査結果等を確認し、自らの健康づくりに活用できる仕組みの整備 ・新しい医療技術の開発や創薬のための医療情報の二次利活用 ・「診療報酬改定DX」による医療機関等の間接コスト等の軽減の推進 ・医療DXに関連するシステム開発・運用主体の体制整備 ・電子処方箋の全国的な普及拡大に向けた環境整備 ・標準型電子カルテの整備 ・医療機関等におけるサイバーセキュリティ対策等の着実な実施 「医療DXの推進に関する工程表」を後押しする形になっているとともに、「医療機関等における サイバーセキュリティ」が言及されていることも特徴的と言える。 一方、デジタル庁は、国や地方自治体の医療費助成、予防接種、母子保健に関する事業の手続き に活用し効率化を目指した、マイナンバーカードを活用したシステム(Public Medical Hub(PMH))の開発を行い、実証事業を行うことを2023年7月に発表。 参加自治体が公募され、9月に合計で16自治体・87医療機関等が採択されたとの発表があった。 疾患の予防、診断、治療に使用されるプログラム医療機器(SaMD : Software as a Medical Device) については、2022年に、規制改革推進会議が「緊急に対応すべき課題として、SaMDの社会 実装を推進すべき。海外に大きく後れを取っていることを踏まえ、診療報酬を含め各種規制の見直 しが必要」と提言、さらに、「規制改革推進に関する中間答申」にも、SaMDの開発・市場投入 の促進、二段階承認制度の導入、新たな保険償還の仕組みの創設を明記した。厚生労働省は、この 中間答申を受け、2023年3月に「プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン」(改訂 版)および「医療機器該当性判断事例」の公開後、経済産業省と連携し、「プログラム医療機器の 特性を踏まえた適切かつ迅速な承認及び開発のためのガイダンス」、「プログラム医療機器等実用 化促進パッケージ戦略2」(DASH for SaMD 2)などを矢継ぎ早に公開、SaMDの市場投入を 促している。SaMDの診療報酬上の評価に対しては、2023年初頭より中医協が検討に着手、 令和6年度診療報酬改定に向け、SaMDの特性を踏まえた薬事承認制度について議論を重ねてい る。このようなSaMDを取り巻く行政動向は、過去3回の「SaMD産学官連携フォーラム」に て広く公開されている。2023年9月に開催された第3回フォーラムでは、「二段階承認の仕組 み」、「保険報酬」をテーマに議論が行われた。 COVIDー19が5類に移行する中で、パンデミックにおける課題、反省を活かし、健康・医 療・介護分野でのDXが強力に推進されることが期待される。データ利活用におけるルールの明確 化や標準化、個人情報保護の在り方、サイバーセキュリティなど、重要課題への対策も必要であり、 保健医療福祉情報システムを担うJAHISへの期待はますます高まるものと考える。 このような環境変化を踏まえて策定した「中期計画2027」の達成に向け、下記の運営方針の 下に2024年度の業務を遂行する。 |
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2.中期計画2027の運営方針 |
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1)2030ビジョンで描くヘルスケアICTの実現に向けた推進【国民・ユーザ向け】 健康・医療・介護のデータを利活用する「データ循環型社会」に向けて、政策に対する戦略的 発信を行い、それに伴う標準類・実装ガイドの整備と各会員への普及を推進する。 |
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2)JAHIS参画価値の追求、健全な市場の維持・発展【会員向け】 会員共通の課題対応を迅速に行い会員サービスの充実を図る。また、ヘルスケアICT市場の 把握と海外を含めた新規市場の調査・活動支援を行い、活動領域の拡大とともに会員満足度の 更なる向上を図る。 |
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3)JAHISブランドの向上、永続的な運営基盤の確立【運営基盤】 業界の代表として積極的に対外活動に参画・提言するための体制強化を図り、ブランドの向上 に努める。また、コンプライアンス体制の維持・強化を含め運営基盤の強化を推進するととも に業界に必要な人材、運営に必要な人材の確保を行う。 |
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Ⅱ.事業の概要 |
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1.運営方針毎の主要推進施策 |
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1)2030ビジョンで描くヘルスケアICTの実現に向けた推進 |
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(1)健康・医療・介護分野におけるデ-タ利活用等の推進のための会議等に積極的に参画。 「医療DXの推進に関する工程表」を見据え、JAHISとしての提言を行い、他の関係団 体との連携も視野に入れながら、政策に反映させるように努める。 (2)医療DXの推進にとって脅威となるサイバー攻撃から、国民、ユーザを守るため、業界とし てのサイバーセキュリティの底上げに努める。 (3)各省庁・関係団体における各種連携事業やデータ利活用事業に対し、共通基盤整備やデータ ・用語等の標準化普及施策等に積極的に対応し、実装の推進に努める。 (4)国内、国際の動向や最新状況に基づき、JAHIS標準類の策定、各種マスタの整備を戦略 的かつ計画的に進める。 (5)JAHIS標準の国際標準化提案を行うとともに、標準化を進める上で参考となる国際規格、 国際標準、体制・運用方法の調査を踏まえて、我が国における標準化の在り方について検討 する。 |
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2)JAHIS参画価値の追求、健全な市場の維持・発展 |
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(1)診療・介護報酬改定、標準化動向、サイバーセキュリティ等、JAHIS会員共通の課題に 対して、会員へのタイムリーな情報提供および関係機関との折衝等、迅速な対応を行う。 (2)JAHIS会員が共通で必要とする情報に関しては、セミナー・勉強会を積極的に企画・開 催し、会員の技術力向上を図る。また、会員向けHP等の内容拡充を図り、情報発信を強化 する。 (3)売上高調査、市場予測等の調査事業を継続するとともに、海外を含めた新たな市場や技術分 野の動向を計画的に収集し、会員に有益な情報を提供する。 (4)会員向け意識調査の結果に基づくJAHIS参画価値の再評価と活動の見直しにより、会員 および参加委員の満足度向上の施策を推進する。 (5)健全な市場の維持・発展のため、災害、感染症など、社会環境や市場の変化に応じて柔軟に JAHISの運営を行うとともに、健康分野など新たな活動領域を検討し、新規事業分野や 地域にとらわれない新規会員の参画を推進する。 (6)参加者の利便性と実効性を考慮し、リモート会議、ハイブリッド形式や、オンデマンド形式 を行う環境を充実させ会員の利便性向上に努める。 |
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3)JAHISブランドの向上、永続的な運営基盤の確立 |
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(1)事業企画推進室を中心として、各省庁、関係団体が実施する業界にとって有益な事業(調査 研究、PoC等)には、主体的に参画・連携し、提言を積極的に行える体制強化を図る。 (2)現在の体制では解決出来ない複数の部会に跨る新たな課題においては、柔軟な体制作りによ り、課題解決に向けて活動を推進する。 (3)コンプライアンス委員会を中心として、競争法コンプライアンスに関するPDCAを回し、 コンプライアンス活動の定着と強化を図る。 (4)JAHIS運営におけるICT基盤の改善を継続し、リモートワーク、ペーパーレスのより 一層の推進など、運用の効率化と管理体制の強化を図る。 (5)JAHIS活動を担う部会・委員会で活動する人材の育成や若手の活動促進のための具体的 取組みを行う。また、働き方改革や雇用環境の変化を踏まえて、ノウハウを持ったJAHIS 会員企業のOB等が活躍できる仕組みを検討する。 (6)現在実施している教育に加えて、ヘルスケアICTの最新動向や会員の要望に応じて新規テ ーマの教育を企画し、人材の育成を行う。 |
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